スピードを上げると速度増加に伴って「ブーン」といった異音も大きくなる故障が発生しました。
今回の車両はニッサン、エルグランド、E52です。
「ゴー」という音にも聞こえますが、タイヤの回転と関係がありそうなので、タイヤ、ブレーキ、ハブベアリングなどの回転部分の故障が考えられます。
今回、この車両の異音修理を実施しましたので異音発生箇所と修理費用をご紹介します。
どんな作業になるのか?も解説しますので、参考に見て下さい。
目次
走行中も加速時も出る異音発生箇所を探す
20km以下の低速では音が聞こえません。
40km以上出すと徐々に音が大きくなり、車全体にうなり音のようにゴー音が聞こえてきます。
フロントタイヤ付近から聞こえるのでリフトで時速40kmで空転させて音の発生箇所を探します。
空転させるとそれほど音は聞こえてきません。
そのままでは、しっかり聞こえないので聴診器をナックル(ハブ部分)に当てて音を聞いてみます。
音は大きくないですが、左右を比較すると右側の方が音が大きいのでフロント右側の足回り回転部分を点検します。
エルグランドの足回り異音の点検
足回りで回転部分の異音点検は、ブレーキ、ローター、ハブ、タイヤです。
音が伝わって聞こえる場合もあるのでミッション本体も点検候補に入れますが、今回は右のハブの音が大きかったので、ミッションは点検しません。
ブレーキパッドとローターの点検方法
走行中にゴーといった異音の場合、ブレーキ関係の異常はあまり考えれらません。
関係あるとすればブレーキパッドの磨耗です。
パッドの残量がなくなってローターに傷がつくと走行中に「ゴー」や「キー」といった音がでます。
まずはブレーキパッドの残量とローターの傷をチェックして下さい。
エルグランドのハブベアリングの点検方法
これは車検の基本点検でも検査する内容ですが、タイヤを上下左右に揺すります。
遊びが大きければ車検に通りませんので、車検が近ければ車検で点検してもらうといいと思います。
ガタがなければ手で回転させます。
しかしフロントハブベアリングはドライブシャフトが繋がっているので、右だけ回転させてもミッション内部も回し、左のタイヤも回ってしまいます。
なのでハブの点検はドライブシャフトをナックルから外して回転させます。
エルグランドはドライブシャフトを外すよりハブベアリングを外した方が簡単なので、ハブベアリング本体を外して点検します。
このようにナックルとドライブシャフトが車体に残り、ハブベアリングだけを外す事ができます。
左が外したハブベアリング、右が新品です。
見た目でも錆がひどく、異音がしそうな感じです。
手で回転させるとゴリゴリした感触なので、ベアリングが異常なのがわかりました。
ロードノイズの点検方法
今回はハブベアリングの異音でしたが通常、回転と連動している音の場合、ロードノイズを最初に調べる必要があります。
ロードノイズはタイヤノイズとも言いますが、道路と接するタイヤは少しの変化で異音が出やすいです。
タイヤノイズはタイヤの円周の変化を見るとわかります。
変化は「硬化」と「変形」です。
変形は手で撫でるとデコボコがわかります。
デコボコしていればゴー音がでます。
硬化の判断は色々なやタイヤを見て経験を積まなければ難しいですが、硬化が発生している時は変形もしている事が多いので変形だけでも見て下さい。
ハブベアリングの音の消し方
ハブベアリングは1度音が出てしまうと直りませんが、ハブナットの緩みがある場合、締め直すと音が消えることもあるので試してみる価値はあります。
グリスを塗り直して消えた例はあまりありませんが、錆が見えましたら内部を清掃して綺麗なグリスを塗って試すのもいいですが、1時間ほど作業に時間がかかるのでもう一度組み付けて異音が直っていないと工賃だけがかかってしまうので、新品に交換する事をオススメします。
ハブベアリング交換方法
1 タイヤを外す。
2 ブレーキパッドを外す。
3 キャリパー、ローターを外す。
4 車速センサーを外す。
ハブベアリングを外す前に車速センサーを外さなければ中で折れてしまうので注意して下さい。
5 ドライブシャフトのセンターナットを外す
6 ボルト4本を外してハブをセットで外す。
7 逆の手順で取り付けする。
ハブベアリング交換費用
Fハブベアリング | 19,000円/片側 |
工賃 | 20,000円/片側 |
合計 | 39,000円 |
ハブベアリングの寿命が早いのは事故車?
ハブベアリングの故障の原因の多くは経年劣化です。
一般的に10万km~15万kmの間が寿命です。
ベアリング内部は下の画像のようにボールが多数入っています。
このボールが車のスピードにあわせて高回転になるので、消耗して小さくなれば隙間が大きくなり軸が振れてしまうので異音が発生します。
または、錆や砂が付着しても傷がついて振れてしまいます。
砂や錆は雪山、海辺などの走行が多いと発生しやすいです。
また、足回りの分解整備をしたことがあれば、新品の状態より隙間から水が侵入しやすくなってしまうのでベアリング故障の原因になります。
足回りの分解整備をするのは事故修理の時がほとんどです。
中古車で購入した場合、10万km前でハブベアリングの異音が発生した場合は使用酷使か事故歴を疑った方がよいのかもしれません。