エンジンをかけるとシャー音が聞こえました。
エブリィのシャー音はベルトプーリーが定番です。
今回もエブリィ定番のベルトプーリーかと思いましたが、調べるとクラッチのレリーズベアリングの異音でした。
DA17のエブリィのATはMT(マニュアルミッション)と同じようにクラッチを使っている型もあります。
ミッション形式が5AGSとかかれていましたらクラッチの異音に注意して下さい。
クラッチ系の修理費用、交換時期、音の特徴をご紹介します。
気になる方はエブリィの故障一覧も参考に見て下さい。
目次
5AGSのリコール クラッチカバー、ディスク、ベアリング
エブリィの型式DA17は通常のATと5AGSの2種類があります。
5AGSはマニュアルミッション(MT)操作を自動で行うタイプのATです。
5AGSはエンジンの回転数やアクセル開度をコンピューターが読み取り、AGSアクチュエーターがクラッチ操作とギヤチェンジを自動で行うことで、運転手はATを運転しているのと同じ操作でMTミッションの車に乗る事ができます。
5AGSはマニュアルミッションの横にAGSアクチュエーターが設置されたものだと思って下さい。
上の画像がMT本体です。ここにAGSアクチュエーターが付いた状態が下の画像の赤丸です。
このAGSアクチュエーターで、人が操作するクラッチペダルを踏む動きや、手でギヤチェンジする動きをソレノイドモーターを使って再現しています。
その5AGSはクラッチ部分に水が入りやすくなっているため、内部が錆びてしまいます。
下の画像は水に浸かった状態で使用したクラッチベアリングです。錆びているのがわかります。
手で回転させるとゴロゴロ異音がでています。
リコールでは水が入らないようにカバーを装着し、劣化に強いレリーズベアリングやクラッチディスクに交換します。
リコール対象車かどうかは、こちらのスズキ車リコール検索で車体番号を入力して確認して下さい。
レリーズベアリング交換費用
クラッチ異音の原因は主にクラッチケース内の浸水によるものです。
リコールでベアリングを交換しても、大雨で水に浸かってしまうとクラッチレリーズベアリングは錆びて異音が発生してしまいます。
冠水している道路の走行は避け、駐車する時も水が溜まらないような場所にするように注意してください。
クラッチディスク | 5,900円 |
クラッチカバー | 8,300円 |
レリーズベアリング | 4,700円 |
パイロットベアリング | 1,000円 |
工賃 | 28,000円 |
合計 | 47,900円 |
クラッチ系の修理は高額なので車を買い替えるタイミングでもあります。
高く売りたい方はカーセンサー一括査定の体験談を参考にして下さい。
レリーズベアリング異音の特徴
レリーズベアリングはクラッチカバーに常に接触しているため、エンジン回転数と同じ回転をしています。
軽い接触なので回転音が大きくなります。
クラッチが作動する(MTの場合はクラッチを踏む)とベアリングでカバーを押すので力がかかりベアリング内部が密着し、音が消えます。
下の画像では、AGSがジャバラから出てるワイヤーを左に引っ張るとクラッチベアリングが押され、クラッチカバーを押します。
変速する瞬間はエンジン回転もさがるので音が必ず変化します。
ギヤチェンジする瞬間だけ音が消えるのはクラッチレリーズベアリングの特徴です。
5AGSクラッチの交換時期
下の画像は今回交換したクラッチディスクです。
クラッチの交換時期はクラッチディスクが摩耗して限度値を超えた時になります。
クラッチディスクにはスリットが入っており、スリットと表面の境がなくなると限度値となります。
限度値を超えるとクラッチが滑る症状が現われるので体感でも判断できます。
年数にはあまり関係なく、走行距離で寿命が決まります。
10万km~15万kmほどで、クラッチカバー変形かディスク磨耗、ベアリング異音のいずれかが発生するので、同時に全部交換します。
下の画像の青色がスリット部分です。
クラッチが滑ると発進時とギヤが変わる時にエンジン回転数が異常に上昇するので、すぐにわかります。
下の画像では右が新品で左が5万km走行したクラッチディスクですが、スリットが深いので少なく見ても後5万kmは走れそうです。
クラッチディスクにはスプリングが組み込まれているので、クラッチを繋いだ衝撃を吸収できます。
そのスプリングが弱ってくるとギヤチェンジ時にガタガタ振動するようになるので、その場合も交換時期となります。
下の画像の赤色がスプリングです。
急発進はスプリングを弱らせるので、急発進が多い乗り方をすると交換時期が早まります。
クラッチカバーはクラッチディスクとエンジンを切り離す部品です。
クラッチカバーの黄色い部分がスプリングとなってディスクを圧着させています。
黄色の部分をベアリングで押すことでカバーとディスクに隙間が開き、クラッチが切れた状態になります。
上の画像は実際のクラッチカバーです。中にディスクが入っています。
カバーとディスクはエンジン側に付いており、ベアリングだけミッション側についています。
丸く錆びている所がベアリングで押すところになります。
クラッチカバーが弱るとクラッチを踏んでもクラッチが作動せずにギヤチェンジができなくなります。
頻繁に走って止まるを繰り返す街乗りばかりをするとクラッチディスクとカバーの交換時期が早くなります。
クラッチレリーズベアリング交換方法
クラッチレリーズベアリングを交換するにはミッション本体を車体から外します。
最初にバッテリーのマイナス端子をを外してセルモーターを外します。
上の画像はミッション本体です。下のようなセルモーターが中央に付いているので、カプラー、配線、ボルト2本を外します。
次にプロペラシャフトを外します。デフのセンターシャフトの4本のボルトを外すとミッション側は抜くだけです。
後はミッションとエンジンを繋いでいるボルトとミッションとボディを繋いでいるマウントを外すとミッション本体がエンジンの後ろに10cmほど移動すると外れます。
下の画像のような本体が外れます。
中央のシャフトにクラッチベアリングが付いています。
ベアリングはピンで止まっているので簡単に交換できます。
ディスクとカバーは6本のボルトを外すと交換ができます。
取り付けはセンターシャフトがクラッチディスクに入らないと付かないのでディスクのセンター出しをします。
センター出しは専用工具でエンジンのパイロットベアリングとディスクを繋いだ状態でカバーを取り付け固定をすればできます。
後は逆の手順でミッションをエンジンに取り付けすれば完成です。
トランスミッション警告灯は危険
メーターに下記マークが点灯する場合はトランスミッション関連の異常です。
AGS関連や油圧関連、車速センサーなど、診断機を接続しなければ異常箇所はわかりません。
このマークが点灯するとギヤが変化しないといった制御が発動します。
ギヤが変化しないだけでしたら、とりあえず走行は出来ますが、「エンジンがかからない」「ギヤがニュートラルから動かない」といった制御ですと大変です。
ランプが付いて車が動くようでしたら早急にお近くの車屋に行くようにして下さい。