ラパンのエアコンが効かないので原因を調べて修理しました。
ラパンのエアコン関係でよく故障する部品は
- エキパン
- リレー
- エバポレーター
- コンプレッサー
- コンデンサー
この5つですが、エキパンからのガス漏れは定番の故障です。
※「report-car.club」といったサイトでラパンのエキパンの場所や交換費用を詳しく紹介してあります。
今回はコンプレッサーが故障していたので、ラパンのコンプレッサーが故障した時のガスの圧力数値、コンプレッサーの良否判定、修理費用などをご紹介します。
目次
ラパンのエアコンガス圧を確認
このラパンはエアコンのスイッチを入れても冷えませんでした。
カチという音がしてマグネットクラッチが作動してコンプレッサーは動いているようですが冷えないのでガス圧力ゲージで圧力を見てみました。
低圧0.4MPa 高圧1.0Mpa
ラパンの場合、少なくても高圧は1.3Mpaは必要なのでガスが少ないようですが、それでもこの数値で何も冷えないのはおかしいです。
冷えが弱い程度にはなるはずです。
エキパン開きすぎの低圧ガス数値
コンプレッサーが作動している時は低圧が0.3Mpa以下にならなければエアコンはしっかりとは効きません。
0.3Mpa以下にならない原因は以下の2つです。
- コンプレッサーが弱ってる
- エキパンの開きすぎ
エキパンの開きすぎですと、高圧と低圧の差が2:1以下になります。
なので、今回で例えると高圧が1.0Mpaなので、低圧が0.5Mpa以上だとエキパン開きすぎが考えられます。
下の図1黒がエキパンです。
そうなると今回は低圧が0.5Mpa以下なのでエキパン故障ではなく「コンプレッサーが弱っている」可能性が高いです。
次項でエアコンが冷える仕組みを簡単に解説します。
エアコンガスが流れて冷える仕組み
図1:ガスは反時計回りに流れる
- 茶:コンプレッサー
- 赤:高圧パイプ
- 青:低圧パイプ
- 黄:ガス圧力を測る機械を繋ぐ箇所
- 黒:エキパン
- グレー上:エバポレータ
- グレー下:コンデンサ
コンプレッサからコンデンサにガスを送り、コンデンサファンで冷やした後、エキパンでガスを噴射させ、気化熱でエバポレータを冷やす。エバポレータに風を送り室内に冷風を届ける。その後、ぬるくなったガスはコンプレッサに吸い込まれ、同じように循環されていく。
ガスの流れは以上です。
詳しくはエアコンが効く仕組みも見て下さい。
黄色はガス圧力を測るゲージを繋ぐところですが、高圧と低圧の数値が近い場合はコンプレッサーかエキパンのどちらかが密閉されずに繋がってしまっていると、図から想像できると思います。
低圧ゲージが高いという事はコンプレッサは青パイプ内のガスを吸い出せていない可能性が高いです。
コンプレッサーは青パイプ内のガスを吸って赤パイプに吐き出さなければガスは流れて行きません。
エバポレーターなどエアコン関連画像
↓右側の大きな四角の横シマの部品がコンデンサ。左にパイプが出てコンプレッサに入っています。
エバポレータとエキパンは隣接しており、車内のオーディオ奥に設置されているので、分解しなければ見えません。
下の画像ようにダッシュボードを外すとエアコンユニットが見えます。
さらに分解すると以下のようにエバポレータが見えます。
中央がエキパン。下はエキパン単体の拡大画像。
エアコンユニットの中身は下イラストを参考にして下さい。

参考画像:ブロワ、エバポ、ヒーター
このような部品がオーディオ奥に設置されていています。
エアコンガスが循環しているエバポレータをブロワモータで風を当てると冷風が車内に出ます。
コンプレッサーが弱っているか確かめる方法
コンプレッサーが弱っているかどうかは圧力ゲージでしか判断できないので、以下2つの方法で圧力を見ます。
- エンジン回転を上げた時
- エアコンをOFFした時
エンジン回転数を上げるとエアコンが効く?
エンジン回転を上げても低圧、高圧ともに数値はほとんど変わりませんでした。
※少しだけ低圧が下がり(0.27)、高圧が上がった(1.1)。
コンプレッサーが正常なら低圧は0.2Mpa以下になり、0Mpaにかなり近くなります。
エンジン回転数を上げるとエアコンが効くようならガス不足が原因の場合がほとんどです。
エアコンをOFFにして圧力変化を見る
エアコンをOFFにすると10秒で低圧と高圧が同じ圧力になりました。
正常なコンプレッサーなら圧力が同じになるまで5分位はかかるので、どこかの部品でガス圧力が保持できていないようです。
コンプレッサ内が故障して低圧、高圧が区切られていないとこういった症状にもなります。
エアコンガスを補充して最終確認
以上の事からコンプレッサーが弱ってる可能性が十分考えられますが、念のため、少量のガスを補充して最終点検をします。
ガスを入れると、低圧も高圧も少し圧力が高くなる程度で、エアコンは効きませんでした。
以下はガス補充料金です。
ACガス補充 | 2,000円 |
エアコンガスは1缶200g程度です。とりあえず1缶入れます。
この時点で少しは効くようになれば、コンプレッサー以外のガス漏れや詰まりも視野に入れて故障診断しなければなりませんが、今回は
- エアコンONの時の低圧、高圧
- エンジン回転数の変化による圧力変化
- エアコンON~OFFにした時の圧力変化
これらの結果からコンプレッサーの故障と判断できました。
ラパンのエアコンコンプレッサー交換費用
コンプレッサー | 20,000円 |
エアコンガス補充 | 4,000円 |
交換工賃 | 8,000円 |
合計 | 32,000円 |
※コンプレッサーはリビルトの値段
点検の時にエアコンガスを入れたのなら、エアコンガス補充料金も追加されます。
交換後にエアコンのガス漏れ点検をする
今回はコンプレッサーが弱っていたためにエアコンが効きませんでした。
エアコンのガスが入っている装置はコンプレッサーの前が吸い出すので負圧になり、コンプレッサーの後ろが押し出すので正圧になります。
その事を低圧と高圧と言いますが、コンプレッサーが境になります。
コンプレッサーを交換することでエアコンが効くようになりましたのでコンプレッサーの圧力も上がります。
その為、低圧パイプと高圧パイプに修理前より負担がかかるようになりました。
コンプレッサーが直るとコンデンサーやエバポレーターにも故障中にはない圧力がかかるようになるので、少し弱っている箇所からガス漏れするといった新たな故障も出てくるので、注意して下さい。
ラパンのコンプレッサーのロックは保証で直す
令和2年から令和4年のラパンはエアコンコンプレッサーがロックする故障があります。
保証が新車時から7年に延長されているので、ディーラーに確認してみて下さい。
対象車両は以下の車体番号です。
HE33S-300001~HE33S-341441
保証が効かない場合、有料で直すしかありませんが、コンプレッサーがロックした場合は注意点もご紹介します。
コンプレッサーがロックするなどの機械的な故障が発生すると内部が削れ、粉が大量発生し、コンデンサーが詰まる事もよくあります。
↓この画像はコンプレッサの内部が削れてる状態
詰まった粉が新しいコンプレッサー圧力で押し出され、再度、コンプレッサーに混入し、コンプレッサーをロックさせてしまう事があるので、ガス配管内や、コンプレッサーの中も見てアルミ粉が見えたらエアーを使って排出するなど、清掃をして下さい。
エアコンの修理は1つ直すと他が故障する事がよくあります。
追加の部品交換が発生する可能性があると思って修理費用に余裕をもたせておくと安心です。