ルークスが加速しない症状を改善させるために原因を探して修理しました。
原因がわからず困っている方は参考にして下さい。
パレット、スペーシア、ワゴンRなどもエンジン、ミッションが同じ形式の場合があるので共通の故障かもしれません。
(ML21S , MK21Sなど)
参考までに見て下さい。
目次
加速不良が発生する場面は?
パレットやルークスが、どういった場面で加速不良が出るのか具体的にご紹介します。
①信号待ちから発進時に少し強めにアクセルを踏んだ時
②カーブを抜けた後、アクセルを踏んでスピードを上げようと思った瞬間。
③坂道発進でアクセルを強く踏んだ後
④通常走行中に追い越しする為にアクセルを強く踏んだ瞬間。
⑤4人乗車中に信号待ちから普通にアクセルを踏んで発進する時
加速不良の体感 ジャダーの特徴
加速不良なので、症状が出る時は必ずアクセルを踏んだ瞬間です。
加速不良はアクセルを踏んでもスピードが出ない事をいいますが、今回の故障はスピードが出ないと同時に車全体がガクガク揺れるのが特徴です。
※振動をジャダーという。
そのまま更にアクセルを踏み込んでも振動するだけでスピードが出ません。
1度アクセルを離して落ち着かせてからゆっくりアクセルを踏み直すと加速し始めます。
このようにアクセルを踏み直すと直る時はCVTが原因の可能性が高いですが、故障診断する時はエンジン不調も調べます。
エンジン側の故障診断
加速不良はエンジンの出力不足かミッションの動力伝達不良のどちらかなので、故障診断に入る前にどちらか予測をたてます。
まず以下の4つを見ます。
- アイドリングで振動があるか
- アイドリング中に息継ぎするか
- アイドリング回転数が不安定ではないか
- Pレンジで停車中にアクセルを踏むと回転がスムーズに上がるか
上記確認で不具合を感じた場合、エンジンの出力不足の原因を探して修理します。
エンジン出力不足の原因- スパークプラグの故障
- イグニッションコイルの故障
- エアフローセンサーの故障
- スロットルボディの故障
エンジン出力不足はエンジン内部の圧縮不良など重大な不具合もありますが、基本的には上記4つのどれかを交換する事で直りますので最初にここから故障診断を始める事をおすすめします。
スパークプラグの点検
スパークプラグをエンジンから取り外し、エンジンから外れた状態でイグニッションコイルとスパークプラグを取り付けします。
そしてエンジンスタートスイッチを押してセルモーターを回転させます。
その時に下のように火花が見えればスパークプラグとイグニッションコイルは正常です。
火花が見えない場合はスパークプラグかイグニッションコイルが故障しています。
まれにクランクポジションセンサーやインジェクタの故障でもエンジンコンピューターがイグニッションコイルの電源をカットして強制的に火花を飛ばさせない場合があるので注意が必要です。
火花が見えない場合、スパークプラグの故障かイグニッションコイルの故障か見分ける方法を簡単にご紹介します。
イグニッションコイルの故障か見分ける
上記スパークプラグの点検で火花が見えればイグニッションコイルは正常です。
火花が見えない場合は横のイグニッションコイルと付け替えてスパークプラグの火花が見えるようならイグニッションコイルの故障です。
火花が見えない場合はスパークプラグの故障です。
※イグニッションコイルの故障診断方法のページも参考にして下さい。
しかし、先ほど説明したようにコンピューターが強制的に火花を止めているケースがあるので注意して下さい。
エアフローセンサーの点検
エアフローセンサーはエンジンに送る空気量を測定する部品です。
エアクリーナー付近についています。
エアフローセンサーが測定した空気量でガソリン噴射量を決めるのでエアフローセンサーが故障するとガソリンが少な過ぎて息継ぎしたり、ガソリンが多すぎて吹け上がりが悪くなったりします。
故障しているかどうかは診断機を繋いでエアフローセンサーの故障コードが出ているか見ます。
故障コードが出ていなくても特性異常の場合もあるので、判断が難しいです。
特性異常とは実際の空気量とセンサーが測定した空気量のズレです。
ズレてしまうと本当は空気量が少ないのにコンピューターは空気が多いと勘違いし、ガソリンを増やして、燃費が濃くなりすぎて吹け上がり不良になります。
特性異常はO2センサー、A/Fセンサー、ISCバルブ開度などの数値を見て相対的に判断します。
例えば空気量の数値が多いのにO2センサーがリッチを出力しているなら「特性異常で実際の空気量は少ない」と考えることもできます。
診断機がない場合、信号線の電圧を測定して下のグラフと比較します。
正常な例)
- アイドリング=1.2v
- 3000rpm=1.8v
※エアフローセンサの故障診断方法のページも参考にして下さい。
スロットルボディの点検
スロットルボディは2つのセンサーで故障を判定しているので、異常があればすぐに故障コードが出ます。
汚れが原因で動きが悪い場合は故障コードは出ませんが、診断機で空気量とスロットルバルブの開度を比較すると異常か判断できます。
※スロットルバルブの故障診断方法のページも参考にして下さい。
スロットルバルブが開いて空気量が増えるようなら正常ですが、こちらもエアフローセンサーの特性異常が発生していない事が前提です。
エンジン側の故障でしたら、以上ですが、今回はミッション側の故障です。次をご覧下さい。
CVTミッション側の故障診断
ルークスやパレットのミッションはCVTタイプです。
CVTはATと違ってオイルで動力を伝達していません。
金属ベルトを使ってエンジンの動力を直接受けているので、エネルギーのロスが少なく、燃費はいいのですが、エンジンの力が車の動きに連動してしまうので少し乗り心地が悪いです。
ATの場合はオイルでエンジンの動力を受けているので、なめらかな動力伝達が可能で、乗り心地がいいです。
CVTの点検では診断機で故障コードを見て、コードが出ていればその部品を交換すれば直ります。
CVTの仕組み
CVTはオイルの通路を変えて歯車の組み合わせを動かしてニュートラル、ドライブ、リバースに切り替えます。
変速はエンジン側のプーリーとタイヤに出力する側のプーリーの直径を変えて行います。
ベルトは台形の形をしており、プーリーで挟み込むことで、プーリーの外側を回れば回転数が遅くなり、プーリーの内側を回すと回転数が早くなります。
このように変速比を変えてエンジンの少ない回転数で高スピードを出す事ができます。
CVTフルード交換で不具合が直る理由
CVTの不具合は主に以下3種類です。
- 電気系統
- 油圧制御系統
- 動力伝達系統
この3つはCVTフルードの圧力をコントロールしたり、CVTフルードで動いたりする部品が関わっています。
中でも有名なCVT内部部品が以下6つです。
- 回転センサ
- ライン圧ソレノイドバルブ
- コントロールバルブ
- スチールベルト
- クラッチ
- ブレーキ
この中で1番の回転センサ以外全部フルードを遮断、解放、潤滑などで使っています。
特にソレノイドバルブやコントロールバルブはフルード通路が狭いので、金属粉によって通路を塞いでしまったり、バルブに隙間を作ってしまったりします。
内部はギヤやベルトが金属同士で擦れて粉が出ます。
粉を取り除けば、通路の詰りやバルブの隙間を減らす事ができるので、フルード交換で調子が良くなる事もあります。
またフルード交換で粘土が回復すれば圧力も上がり動力伝達能力も同時に上がるので加速不良やジャダーが直ります。
次の実験データも見て下さい。
CVTフルード交換前後のデータ
以下はCVT内部のプライマリプーリーとセカンダリプーリーの回転数をCVTフルード交換前後で比較したものです。
プライマリ | セカンダリ | |
交換前 | 3831 | 3053 |
交換後 | 3752 | 3210 |
上の数値は共にアクセル全開の加速中で時速40kmに到達した瞬間のデータです。
CVTフルード交換後はセカンダリ回転数が高いです。
プライマリ側はエンジンから直接力を受けているので、エンジン動力だと思って下さい。
セカンダリ側はCVTベルトを介してエンジンの動力を伝達したプーリーです。
ですのでセカンダリプーリーの回転数が高いのはスピードより強い力を求めている結果となります。
という事は時速40kmに到達するのはCVTフルード後の方が早いので加速不良が改善されていることを現しています。
アクセルを踏んでも進まない時はCVTフルード交換
CVTの故障コードもなく、エンジンの故障診断をしても出力不足でない場合はCVTフルードの交換で走りが改善される場合があります。
改善事例- 急加速でガクガクしなくなる
- 坂道発進でガクガクしなくなる
- 人を大勢乗せても加速がスムーズ
CVTがガクガクすることをジャダーともいいますが、どのメーカーもCVTフルード交換でジャダーが回復するケースが多々あります。
しかし逆にCVTフルード交換で悪化したといった噂も聞いた事がありますが、その原因は圧力送信式のフルードチェンジャーによって金属粉が流れ出してソレノイドバルブなどを詰まらせてしまうからです。
そもそも、そのような金属粉が多い状態の車は交換しなくても早いうちに振動など何かのきっかけで詰りが発生して悪化するはずです。
整備士と相談して、しっかり理解してから交換するようにして下さい。