アクアのハイブリッドシステム異常警告灯の消し方と寿命の見方

エンジンをかけて3分ほど走行するとメーターにハイブリッドシステムチェックが出てきました。

走行距離が10万kmを超えているトヨタ車アクアのハイブリッドバッテリーは寿命かもしれません。

エンジン警告灯と車のビックリマークも点灯しているので原因を調べましたが、取説を見るとハイブリッドシステムに関係がありそうでした。

 

ここでは電圧を見て寿命を予測する方法や簡単に修理する方法、警告灯を簡単消す方法など、役立つ情報をご紹介します。

なお、もうすぐ車検の方は車検安いランキングも参考にして下さい。

 

 

ハイブリッドバッテリー異常を直す方法

アクアのハイブリッドの不具合は診断機がないと調べることができないので、不具合の原因は診断機を使って調べます。

なかには診断機を使わずに簡単に直ってしまう異常もありますが、まずは下記方法を試してください。

 

メーターに「温度」にかかわるメッセージが出ていれば簡単に直る可能性もあります。

  • 冷却性能低下
  • 高温注意

このようなメッセージが表示されている場合は冷却ファンのフィルターを掃除することでハイブリッドシステム異常が解消されます。

上の画像のようにエンジン警告灯や車の中央にビックリマークがついている警告灯が点灯している場合も、まずはフィルターを見てください。

 

 

HVバッテリーの冷却ファンを掃除

バッテリーは放電、充電を繰り返すと内部で化学反応がおき、元素が付いたり離れたりするので振動します。

振動は熱に変わるのでバッテリーを多く使用すればするほど熱を持ちます。

 

熱は蓄電池の劣化を早め、内部抵抗も増加させてしまい、電気効率が悪くなるので冷やす必要があります。

ハイブリッドバッテリーはリヤシートの少し後ろに装着されています。

リヤシート左側の座面下にハイブリッドバッテリー(HV)を冷やすための空冷通気口があるので、そこから風を送り込みHVバッテリーを冷却します。

 

冷却ファンが回ると空気を吸い込むので、同時に埃やゴミも吸い込みます。

そのため、ファンの手前にフィルターが付いていますが、そのフィルターが詰まってハイブリッド異常の警告灯を点灯させることもあります。

下の画像のようにフィルターはリヤシート左下についています。

診断機を繋げて点検すると冷却異常の「電池温度センサ2(High) 」などの故障コードが出るので簡単にわかりますが、診断機がなくてもフィルターの詰まりは目で見えるので、簡単に点検できます。

なお、後部座席後ろの荷物室に熱を逃がす排出口がありますので、こちらも荷物などで塞がないように注意して下さい。

フィルターを掃除すれば高温は解消されますが、警告灯は消えません。

消すには事項をご覧下さい。

 

 

ハイブリッドシステム異常警告灯を消す方法

サブバッテリーのマイナス端子を外しても警告灯を消す事ができます。

サブバッテリーはリヤシートの右下に収納されています。

 

まず足元のカバーを外すためにクリップを2ヶ所外します。

次にカバー全体を手前に引けば、取り外せて、サブバッテリーが見えます。

サブバッテリーのマイナスを外して5分程度放置します。

その後、取り付けして警告灯を確認して下さい。

 

ほとんどの車はこれで消えますが、完全に故障している場合は、消えません。

消えた場合でも10分走行すると警告灯が点灯する場合がありますが、その時はハイブリッドシステムの修理をしなければ消えません。

 

また、バッテリーを外して消えない場合は診断機を使って消すしかありません。

診断機で消す時は故障コードをメモしておき、故障発生時のフリーズフレームデータも保存しておいて下さい。

 

フリーズフレームデータは故障発生時のエンジン回転数やバッテリー電圧など細かいデータが大量に保存されています。

診断機を使って警告灯を消すとフリーズフレームデータも消えてしまいますので、故障の原因を探すのが大変になってしまいます。

 

リセットしても消えない場合でも故障していない限り数日すれば消える事があるので、少なくても3日は車をいつも通り使用してみて警告灯の様子を見て下さい。

いずれにしてもハイブリッドシステムの警告灯は1度点灯すると高額修理になる可能性があります。

 

もうすぐ車検の方は車の買替を検討するか、こちらの安い車検で通して修理費用に回すなど、対策を考えておいた方が安心です。

 

 

アクアのHVバッテリーが故障する理由

アクアのハイブリッドバッテリーはニッケル水素電池です。

色々ある蓄電池の1つですが、アクアのハイブリッドバッテリーはプリウスに比べてモジュール数が少ないのでセル数も減り容量も少なくバッテリーの負担が大きいです。

 

その為、アクアは10万kmを越えるとハイブリッドバッテリーが故障する車が多くなりますが、ハイブリッドバッテリーの何が故障するのかを事項で具体的にご紹介します。

 

 

ニッケル水素電池のセルが故障する

ハイブリッドバッテリーの故障で最も多いのがセルの電圧低下です。

ハイブリッドバッテリーはセルといったバッテリーの最小単位を6個繋げて1つのモジュールを作ります。

1モジュールの電圧は通常7.2Vです。

計20個のモジュールが直列に接続され、合計で144Vになります。下の画像は整備マニュアルの1部です。

黒線でつながっているので直列なのがわかります。

直列なので1つのモジュール電圧の低下は電流の流れに影響を与え、放電も充電も弱くなります。

1つモジュール電圧が低くなる原因はたくさんありますが、メモリー効果といった現象も発生している場合があります。

 

メモリー効果とは放電した後に充電すると、充電を開始した時の電圧を下限の基準となってしまう事をいいます。

そうなると容量はあるのに実際に使える電気が少なくなってしまいます。

 

ハイブリッドバッテリーの放電は車を走行させるためのモーターを動かす力になります。

放電させるには充電して電力を貯める必要があります。

 

1セルの電圧低下はハイブリッドバッテリー全体の充電と放電の力を弱めてしまうので、1つのセル劣化がハイブリッドバッテリーを急速に消耗させます。

 

 

 

バッテリー寿命の前兆は電圧でわかる

故障の前兆がわかればハイブリッドバッテリーの寿命を長くすることができます。

ハイブリッドバッテリーはモーターで充電するので、電圧を調整するコンバータや、交流と直流を変換するインバータなどが故障してもハイブリッドバッテリーが故障します。

今回は他の要因は除外して考えて、最も故障が多いハイブリッドバッテリー本体の故障に絞って調べました。

まずは診断機を使ったハイブリッドバッテリーの劣化具合の確認方法をご紹介します。

これからアクアの中古車を購入しようと思っている方は是非、見て下さい。

 

 

電池ブロックの電圧を見る

診断機をつないでハイブリッドバッテリーのデータモニターを見ます。

暖気後、SOCが50%以上ある時に電池ブロック0から9までの電圧を見ます。

SOCとはバッテリーの充電量の事ですがメーターでハイブリッドバッテリー残量が半分以上あればSOCも50%以上です。

上の画像の時計右側がハイブリッドバッテリー残量です。残量目安は以下を参考にして下さい。

  • メモリの下から1つ目が残量40%以下
  • メモリの中央が残量50%
  • メモリの上から1つ目が残量60%以上

例えば、中央から1メモリ下がった状態は45%、中央から1メモリ上がった状態は55%です。

このようにアクアのハイブリッドバッテリーの充電量は40%~60%を維持するような設定になっています。

SOC50%以上で10個ある電池ブロックの中で電圧が一番高いブロックの番号と電圧をメモして下さい。

 

次にハイブリッドバッテリーを消費させます。

消費させる方法
  1. アイドリング状態(readyでモータ駆動状態)
  2. ヘッドライトをハイビームにする
  3. エアコンの風量を最大にする
  4. リヤのデフォッガスイッチをONにする

以上の状態を保持し、SOCを40%付近にします。

40%を下回るとエンジンが駆動してしまい、発電を開始して正確に判断できなくなるのでエンジン駆動はさせないで下さい。

 

その時に前回見た電圧の高い電池ブロックの電圧を他のブロックと比較します。

前回の測定と同様に他のブロックより電圧が高ければ問題ありません。

 

この結果でしたらハイブリッドバッテリーはまだ寿命ではありませんが、電圧が他よりも低い時は寿命が近いです。

※詳しくは下で紹介するグラフをご覧下さい。

 

バッテリーの寿命とは容量減少です。容量が減る理由もご紹介します。

 

 

メモリー効果が1つのセルで発生

アクアのハイブリッドバッテリーはニッケル水素蓄電池で、電解液がアルカリ性ですが、このタイプはメモリー効果といって電池容量が減ってしまう現象あります。

メモリー効果の発生がハイブリッドバッテリーの故障1つになっています。

 

メモリー効果が発生する原因はハイブリッドバッテリーの電気をOFFにしている時にプラスの極板に発生する「γ-NiOOH」オキシ水酸化ニッケルの結晶だと言われています。

この結晶が抵抗になって放電電圧が低下してしまいます。

 

以前は少し電力が下がっただけで充電してしまうと「γ-NiOOH」が発生すると言われてましたが、研究の結果、開放電圧時に発生する事が判明したようです。

どちらが正しいのか、私にはわかりませんがハイブリッドバッテリーを購入すると5日以内に取り付けするように指定されるので開放電圧時(電圧を使わない)にメモリー効果が発生するものと製作者も考えていると思われます。

 

メモリー効果の原因である結晶を溶かすには満充電と深い放電(電気を使いきる)を繰り返すといいようです。

 

結晶が極板の面積を少なくしてしまうと、抵抗が増えて容量が減っています。

※電子が通る面積が大きいほど抵抗は小さくなる。

 

容量が小さいバッテリーは充電すればすぐに電圧が高くなりますが、放電すればすぐに電圧が低くなってしまいます。

従ってSOCが高い時はどのブロックよりも電圧が高く、SOCが低い時はどのブロックよりも電圧が低くなる劣化症状がメモリー効果と一致します。

 

 

ブロック電圧変化の実験結果グラフ

正常なハイブリッドバッテリーと劣化したハイブリッドバッテリーの電池ブロック電圧を比較したグラフを下に表示します。

正常

劣化

劣化したバッテリーの電池ブロック2を見て下さい。

この電圧が先ほどご紹介した「充電した時はどこよりも高く、放電した時はどこよりも低い」メモリー効果の症状を表しています。

このような結果になるバッテリーは寿命が近いので注意して下さい。

 

なお、オートバックスでも診断機があるのでデータモニタを見る事はできます。

走行距離が多い車はオートバックス車検に出した時に追加費用を払ってでも見てもらった方が安心です。

 

 

 

ハイブリッドバッテリーが劣化した時の症状

診断機のデータを見ずにハイブリッドバッテリーの寿命を知る方法は全部で3つあります。

  1. メーターのハイブリッドシステム異常ランプ
  2. エンジン駆動時間が長くなる
  3. バッテリー残量メーターの上げ下げが頻繁になる

これらの症状が出た時はバッテリーが劣化しています。

 

1、ハイブリッドシステム異常ランプ

メーターに表示されるのですぐに気がつきますが、この警告灯が表示された時はもう寿命を越えて、すでに故障している可能性があります。

 

2、エンジン駆動時間が長い

ハイブリッドバッテリーの残量が40%以下になるとモーター駆動からエンジン駆動に切り替わります。

メーターで残り2メモリになるとエンジン駆動になります。

バッテリーの寿命が近くなるとハイブリッドバッテリーの減りが早くなるのでエンジン駆動時間が増えますが、わずかに増えるだけなので、違いがわからない場合がほとんどです。

 

残量メーターの上下が頻繁になる

正常の時より、バッテリー残量の変化量が多くなります。

残量が増えたり減ったりする間隔が早くなりましたらハイブリッドバッテリーに注意して下さい。

 

以上がハイブリッドバッテリーの寿命を判断する方法ですが、診断機がないとかなり雑な判断になってしまいますので、正確に知りたい場合は整備工場にお願いしてデータモニタを見てもらって下さい。

 

 

充電がバッテリー寿命を左右する

寿命を伸ばすポイント
  1. 1週間以上、エンジンをかけずに放置しない
  2. サブバッテリーが消耗してきたらすぐに交換する
  3. 1日以上放置する時は充電50%以上まで充電してからエンジンを切る
  4. 車内はなるべく冷やしておく
  5. 通気口と排出口は塞がない。

ハイブリッドバッテリーの充電はエンジンをかけて走行する事です。

エンジンがかかれば「モーター1」を動かして発電し、ハイブリッドバッテリーを充電します。

 

ブレーキを踏めば「モーター2」の電磁気で発電させてハイブリッドバッテリーを充電します。

ハイブリッドバッテリーは走行することで充電するので、毎日、少しでも走行するのがポイントです。

 

 

ハイブリッドバッテリーの交換費用

HVバッテリー150,000円
交換工賃20,000円
合計170,000円

※HVバッテリーはハイブリッドバッテリーの略です。

 

HVバッテリーは高額なので修理して再生させた部品が安く販売されています。

保証もあり、ディーラーでも扱っているので安心して利用できます。

リビルト部品と呼ばれていますが、新品の部品より20%~30%ほど安くなるのでおすすめです。

 

 

 

アクアのハイブリッドシステムの概略

アクアを走行させるには3つ駆動方式があります。

  1. エンジン駆動
  2. 電動モーター駆動
  3. エンジンと電動モーター両方駆動

エンジン駆動はガソリンを使って車を動かします。

エンジン➡️ギヤ➡️減速機➡️タイヤ

 

電動モータ駆動はガソリンは使わずにハイブリッドバッテリーの直流電圧をインバーターで交流電圧に変換して電動モーター2を動かします。

HVバッテリー➡️インバーター➡️モーター2➡️ギヤ➡️減速機➡️タイヤ

 

加速を必要とする時はエンジンとモーターの両方で駆動します。

上のイラストを見るとモーター1は何もしていませんが、実はエンジン駆動中の走行支障が出ない時にモーター1を回して発電しています。

モーター1はガソリン車で例えるとオルタネーターです。

 

スズキ車でいうマイルドハイブリッド車と似た仕組みで、減速時には発電させています。

セルモーター付きオルタネーターになっており、エンジンスタートとエンジン駆動中の充電をしています。

 

 

 

アクアのハイブリッドバッテリーの種類

アクアのハイブリッドバッテリーは「ニッケル.水素蓄電池」です。

バッテリーの構造
  • バッテリーブロック10個
  • バッテリーモジュール20個
  • 1モジュール内のセル6個

このようにバッテリー内部で区分けされています。

具体的には1つのモジュールに1.2Vのセルが6個入っており、そのモジュールが20個直列に繋がっているので、144Vのバッテリーになっています。

バッテリーの故障や不具合を管理するために隣同士のモジュールを2つセットにして電圧センサーをつけて管理しています。

その2つセットがバッテリーブロックと呼ばれ、バッテリーブロック1番から10番までを、それぞれ1ブロックごと電圧を測定して弱っているモジュールを探します。

1モジュールが7.2Vなので1ブロックは14.4Vになりますが、車を使用中はバッテリーの性能を下げないように常に15V以上になるように発電しています。

 

 

ニッケル水素蓄電池の成分

アルカリ電解液
  • 水酸化カリウム KOH
  • 水酸化ナトリウム NaOH
  • 水酸化リチウム LiOH

 

負極
  • 鉄 Fe
  • ニッケル Ni
  • コバルト Co
  • マンガン Mn
  • アルミニウム Al
  • ランタン La
  • セリウム Ce
  • ネオジム Nd
  • プラセオジム Pr

 

正極
  • 水酸化ニッケル Ni(OH)2
  • ニッケル Ni
  • コバルト Co

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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