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エンジンがかからず「カチ」音の原因
ブレーキを踏んでスタートスイッチを押してもカチンといった音は出るがエンジンが回る気配がない。
何回か繰り返すとエンジンがかかるが、その時も「カシャ―ン」といった以前までしなかった異音が聞こえる。
今回はこのような故障の修理内容と費用をご紹介します。
平成23年 ステップワゴン 9万km
「エンジンがかからない」だけならバッテリー上がりも考えられますが、かかった後に異音が出るならバッテリー以外が故障している可能性があります。
エンジンがかかった後に出る音は
- タペット音(カタカタ音)
- メタル音(カンカン音)
- オルタネーター(ゴー音)
- エアコンコンプレッサー(ガラガラ)
- セルモーター(シャー)
などです。まずは異音の原因を調べてみます。
エンジンがかからない時の異音も参考にして下さい。
ステップワゴンでよくある「ウィーン音」
その他にステップワゴンはパワーステアリングポンプから「ウィーン」と言った音が出る故障がよくあります。
これはパワーステアリングオイルが漏れて少なくなってる時やハンドルを切った時に出やすいです。
エンジン始動直後はオイルが冷えているとオイル不足で音が出やすいです。
暖まると熱膨張でオイルが増えて音が消えるのがパワーステアリングポンプ異音の特徴です。
今回は音が違うので、パワーステアリングポンプの音は考えにくいです。
セルモーターを点検する
このステップワゴンはエンジンがかかった後、異音はすぐに消えるので、パワーステアリングポンプ、メタル音、オルタネーター、エアコンコンプレッサーは関係なさそうです。
残りはタペット音かセルモーター。
経年劣化したエンジンは始動時にエンジンオイルがエンジンの上の方を潤滑するのに時間がかかるので、タペット音が出ることもありますが、エンジンがかからないことはありません。
そうなるとセルモーターの可能性が高いです。
しかもセルモーターはホンダ以外でも異音や故障が多い部品として有名です。
「カチ」といってかからない症状もセルモーターが回ってない音のような気がします。
参考ページ: エンジンがかからない原因のセルモーター点検方法
セルモーターが故障した症状によく似た症状でランクルではボルテージレギュレーターやキースイッチの故障もあったので、セルモーター入る電圧の確認と聴診器を当てて音も念のためチェックします。
ステップワゴンのセルモーターの位置
セルモーターの位置はエンジンの後ろです。エンジンと室内の間にあるので、上からでは見えません。
見るには車の下に入り、エンジンと室内の間が見える位置から上を見るとエンジン横にセルモーターが見えます。
上の画像の中央がセルモーターです。ドライブシャフトのすぐ上についています。
「カシャー」音はセルモーターから出ていました。
セルモーターの電圧も正常だったのと、異音もセルモーターから出ていたので今回の故障はセルモーターと判断しました。
セルモーターはリビルトか中古で交換する
新品だと高いので、修理再生部品のリビルトセルモーターに交換します。
中古はさらに安く、リビルトの半額以下です。
- リビルト セルモーター:35,000円
- 中古 セルモーター:15,000円
中古のセルモーターを使い場合は走行距離を確認して、なるべく少ない方がいいですが、多くても7万km以下が理想です。
セルモーター交換手順
セルモーターに太い配線(B端子と呼ぶ)が接続されていますが、このB端子はエンジンを切っていても12Vがかかっているため、ボディに触れると激しくショートするので、最初に必ずバッテリーのマイナス端子を外して下さい。
それから下に潜り、邪魔になりそうな配線とS端子のカプラーとB端子のナットを外します。
ドライブシャフトが邪魔になりそうですが、外さずに作業ができます。
セルモーターはボルト2本でエンジンに固定されていますが、上側のボルトは見にくいので作業は少し大変です。
取り付けは取り外しの逆の手順ですが簡単です。
セルモーターの故障の前兆は異音
リビルトのセルモーターはかなり静かな作動音です。
正常なセルモーターの音は小さいです。
音が大きいのは故障の前兆だったようです。
セルモーターはエンジンがかかっているときは、歯車がエンジンと当たらないように引き下がっています。
エンジンをかける時だけ引き出てエンジンのフライホイールを直接回して、エンジンがかかったら引き下がる仕組みです。
「カチ」音は歯車が伸びるが回転しない故障。「カシャー」音は歯車の回転が止まらない音。
今回のステップワゴンの「カチ」という音がしてエンジンがかからないのはセルモーターの回転系統の故障でした。
MRワゴンのセルモーターが回らないのページでセルモーターの構造を解説しているので、深く知りたい方は参考に見て下さい。
ステップワゴンはセルモーターを叩くと回る
セルモーターは電磁石でシャフトを伸び縮みさせています。
電気接点が磨耗すると磁力が発生しないのでセルモーターのシャフトは出てきません。
その状態でもセルモーターは回りますが、シャフトが伸びてないので、エンジンのフライホイールは回せず、空転してシャー音だけが出ます。
接点はとても狭く、少し揺らすだけで接触するので、セルモーターのシャフトを伸ばす事が出来ます。
ですので、応急でセルモーターを回したければセルモーター本体をハンマーなどで軽く叩くと回転します。
叩くにはセルモーターまで手が届く位置までいかなければなりません。
ステップワゴンのセルモーターは上からでは見えないので下に潜るしかないです。
この中央に見えるのがセルモーターです。運転席シートの真下の位置に潜るとこの様に見えます。
ハンマーか長い棒で優しくコツコツ叩いて下さい。
やり方は1人がセルを叩きながら、もう1人がエンジンスタートスイッチを押します。
何度かスタートスイッチを押すとセルモーターが回りだします。
2人で作業しなければできませんが、何度かやれば高確率でエンジンはかかります。
セルモーターの交換費用
平成23年式 型式RK1 走行90000KM | |
メーカー 車種 | ホンダ ステップワゴン |
症状 | 異音&エンジンかからない |
音 | カシャー カチン |
臭い | なし |
振動 | なし |
原因 | セルモーターの故障 |
作業内容 | セルモーターの交換 |
作業難易度 | [star rating = "3"]難しい 素人では難しい |
修理代 | セルモーター35000円 工賃8000円 合計43000円 |
後の支障 | セルモーターに電気を使用するのでバッテリーが弱くなる |
車買替レベル | [star rating = "2"]不要 比較的軽い故障なので買い替えを検討するほどではない
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