インプレッサの運転席側パワーウィンドウが動かなくなったり、途中で下がったりする故障が発生したので調べてみました。
今回はパワーウィンドウモーターの故障でしたが、間違った診断をしてしまうと、ガラスレールやレギュレーターを交換してしまう場合もあります。
車両: H26 インプレッサ GJ2 8万km
無駄な修理費用が発生しない為には故障診断をしっかり行ってから交換する必要があります。
ここでは故障診断方法と修理費用や交換費用をご紹介するので、参考にして下さい。
目次
パワーウィンドウモーターの交換費用
ウィンドウモーター | 15,400円 |
交換工賃 | 5,000円 |
合計 | 20,400円 |
モーターが途中で下がる時は挟み込み防止機能が作動している場合があります。
まずはリセットして初期化して下さい。
動かないわけではないので、車の買い替えまで修理せずに気を付けて乗ろうと思っている方は、カーセンサー一括査定をやってみたのページを見て高く売れる店を探してみるのもいいです。
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パワーウィンドウのリセット方法
パワーウィンドウモーターはオート操作で全閉位置以外で動きが遅くなると「頭や腕を挟んだ!」と考えてモーターを反転させて自動で窓を50cm開けます。
バッテリーを交換したり、パワーウィンドウに関係している部品の取り外しや取付を行うとパワーウィンドウの全閉位置の記憶が消えてしまうので、安全のためにオート操作で手を離しても勝手に全閉、全開する機能を中止します。
パワーウィンドウの動きがおかしい時は何かの理由で設定が消えてしまった事も考えられます。
この機能はリセットすれば正常に作動するので、動きが変な時は、まずリセットしてみて下さい。
リセット方法は2つあります。
一般的には②の作業だけでリセットされます。うまくいかない時は①も作業してみて下さい。
①途中で反転する時
- 運転席側のスイッチでスイッチを上昇方向にいっぱいに引く。
- 10回連続で全閉後、反転しウインドウが少し開く作動を行う。
- オートアップが作動しなくなるのを確認する。
②少ししか上昇しない時
- スイッチを操作しガラスを半分くらいの位置にする。
- スイッチを上昇方向に操作して運転席側のガラスを全閉にする。
- 閉まってもスイッチを上昇方向に1秒間保持する。
パワーウィンドウの故障診断
パワーウィンドウが動かない、止まる、勝手に下がるなどの故障は以下3つを点検します。
- パワーウィンドウスイッチ
- ガラスチャンネル
- レギュレーターモーター
それぞれ点検方法を解説いたします。
パワーウィンドウスイッチの点検
スイッチの裏側にカプラーがあります。
外し方はページ下の「ウィンドウモーター交換方法」の項目を参考にして下さい。
このインプレッサはパワーウィンドウモーターに電圧をかける端子は2つです。
その2つの端子は12Vとアースですが、アップ操作時とダウン操作時は逆の電圧になるだけです。
ですので、2個の端子を点検するだけでスイッチの良否が判断できます。
スイッチの裏側のカプラーに下の画像のように電圧計テスターをセットします。
右下の青線と右から5番目の青黒線です。
プラス、マイナスはアップとダウンで逆になるだけなので、マイナス表示できる電圧計でしたらどちらをプラスにしてもかまいません。
アップ操作した数値が下の画像です。
13V以上あります。車は12Vですが、エンジンがかかっているとオルタネーターで発電されているので、13~14V前後が正常値です。
下げる操作をするとマイナス13Vになりました。
以上の結果でスイッチは正常と判断できました。
ガラスチャンネルの点検
手でかなり強く押すと挟み込み込み防止が作動します。
ガラスレールゴム(ガラスチャンネル)が弱っている程度では挟み込み防止機能は作動しません。
ですので確認はガラスとレギュレーターを止めているボルトを2本外して、手だけでガラスを上げ下げ出来る位でしたらガラスチャンネルは正常と判断できます。
手で上げるのが、かなり大変なほど動きが悪い時はガラスチャンネルを交換します。
そうでないのに上昇途中でガラス下がるのはモーターの力不足かレギュレーターの抵抗過多です。
レギュレーターの点検
レギュレーターモーターをセットで車から取り外して点検します。
レギュレーターとモーターを切り離し、レギュレーターだけを手で動かして「ローラの動き」「レールの動き」「ワイヤーの動き」を感覚で確認します。
引っ掛かりや動きが悪い所があれば交換します。
モーターを外した状態でレギュレーターを動かすとワイヤーが外れる事があるのでモーターを外したローターを手で押さえながら点検して下さい。
レギュレーターの動きが悪くなる原因は3つです。
①上のローラ部分の磨耗
②ワイヤー巻きローラーの磨耗
③ガラスステーの磨耗
これら3つは磨耗ではなく変形してしまうような故障ですと異音が発生して動かなくなります。
レギュレーターとモーターはセット商品になっているのでモーターかレギュレーターのどちらか一方が故障しても両方交換することになります。
パワーウィンドウモーターの点検
パワーウィンドウスイッチを操作してモーターの電圧を計ります。
上昇と下降のスイッチを押した時に+13Vか-13V発生すればモーターまでの配線とスイッチは正常です。
後はパワーウィンドウモーターの単体点検ですが、下がってしまう故障は単体点検で異常はでません。
挟み込み防止の仕組み
挟み込みはモーター内部のホールセンサーで判断します。
下はモーターを外した画像です。
白い所に基盤が埋め込まれており、そこにホールセンサーが2個ついています。
下の画像はモーターシャフトです。
ホールセンサーに電流を発生させるために中央に磁石がついています。
磁石は半分がN極で半分がS極です。
その回りにホールセンサーが設置されて、モーターシャフトの磁場を受けて電流を発生させます。
下の画像のように磁石の回りにホールセンサーがあります。
ホールセンサーの2つは対角線上ではなく、隣接しているので、2つの発生電圧波形のタイミングは右回転と左回転で違います。
その違いで上昇中か下降中か判断し、なおかつ現在位置もカウントし、シャフトがあと何回転すれば全閉になるのかもわかります。
上のグラフはホールセンサーの電圧波形です。
ホールセンサー1の電圧が発生した時にホールセンサー2の電圧がなければ右回転です。
波形のズレ仕組み
ホールセンサーに磁石のN極が近くと電圧が発生するので、ホールセンサー1の電圧が途切れた後にすぐホールセンサー2の電圧が発生すれば左回転だと判断できます。
ホールセンサー1の電圧が途切れる前にホールセンサー2の電圧が発生するようなら右回転です。
全閉位置が正確でないとコンピューターは全閉時も挟み込みだと勘違いして反転させてしまいます。
回転方向や挟み込みの信号はパワーウィンドウスイッチの中にあるコンピューターが受け取り、モーターの電圧を制御します。
挟み込みを感知した波形
ホールセンサー1とホールセンサー2の発生電圧のズレを比較すると上昇中か下降中か判断できます。
挟み込みの確認はホールセンサー1だけで判断できます。
上の図のようにオシロスコープでホールセンサー1の波形電圧が細かいパルス波形でなくなればモーターが一瞬止まったと判断して挟み込み防止機能を作動させます。
モーターの回転が遅いのはモーター自体が遅くなっているか、レギュレーターやガラスチャンネルの抵抗が増えているかのどちらかです。
反転する原因
モーターが弱って全体的に遅くなっている場合は挟み込みが感知出来ない時があります。
コンピューターはパルス波形の一瞬の変化で挟み込みを判断するので、ゆっくりになったモーターは挟んでもパルス波形の基準値の変化の場合はモーターは反転しません。
パワーウィンドウが上昇している時にガラス上部を手で押し下げるとわかります。
押し下げる方にゆっくり力を入れ続けても上昇は止まりません。
瞬間的にガラスを下に押すと、それほど力を入れなくてもモーターは反転します。
ですので、ガラスレールの抵抗が増えた程度で反転するのは考えにくく、反転する可能性としては
- モーターの動きが瞬間的に遅くなった
- ガラスレールが変形もしくは異物
- レギュレーターの引っ掛かり
これらが考えられます。
パワーウィンドウモーターの交換方法
ドアポケットのビスを1本外します。
ドアノブ奥にあるビスも1本外します。
ドアの内張りを手前に強く引くとクリップが外れ内張り下側が取れます。下の画像で白い所がクリップです。
次に上に押し上げると配線とワイヤーが見えます。
ワイヤーと配線を外せば内張りが外れパワーウィンドウレギュレーターが見えます。
ワイヤーはこのように先端の球をワイヤーからずらして外します。
スイッチ操作でガラスを下げガラス下側のボルト2本外し、ガラスの左上を持ち上げて斜めにし、ドアから抜き取ります。
次にレギュレーターの上2本のボルトと下3本のボルトを外してモーターのカプラーを外せば交換できます。
交換は意外と簡単です。
交換した後もパワーウィンドウのリセット作業を必ず行うようにして下さい。