ランクル80のエンジンかからない原因と修理費用

エンジンがかからない「ガガガ」異音

ハンドル右下のエンジンスタートキーを目一杯右に回しても「ガチガチガチ」や「ガガガ」というだけでエンジンがかかりません。

バッテリー上がりのよう症状ですが、時々勢い良くかかる時があるのでバッテリーよりセルモーターの方を疑いました。

 

 

ちなみにセルモーターとはエンジンをかけるときにエンジンを強制的に回すモーターのことです。

※参考 セルモーターの仕組み

 

エンジンがかかってしまえばエンジン内部で圧縮、爆発、吸入、排気といったピストンの上下運動が始まり、その上下運動をクランクシャフトによって回転運動に変わります。

ランクル80

 

 

 

セルモーターの電圧チェック

今回の故障はセルモーターが回らないので、まずはイグニッションキーを回した時のセルモーターの電圧を計ります。

少し低い電圧ですが、基準値内なので、エンジンがかからないほどではありません。

ランクル80

 

 

バッテリーの電圧チェック

念のためバッテリーの点検をしてみると、右(運転席側)のバッテリーが弱っていました。

2つとも同じ時期に交換してあり、しかも新しいのになぜか1つだけ弱い状態です。

 

弱い方にブースターケーブルで正常なバッテリーを繋いだら勢い良くエンジンがかかりました。

その後何回やっても正常にかかります。

 

となると1つだけバッテリーが「放電している」か「充電していない」のどちらかの故障になります。

 

 

バッテリーの放電テスト

車の電源を切ると色々な設定がリセットされてしまいますが設定を保持する為に、何も使用していなくても暗電流といった微弱な電流を車に流して設定を保持しています。

例えば時計の時刻などです。

 

これらの電気製品の設定を保持する為に暗電流0.01A~0.03Aは常に流れています。

ルームランプなどがついたままエンジンをきると約0.6Aの電流が流れます。

 

ルームランプがついたままですと軽自動車の新品バッテリーで約33時間でエンジンがかからなくなります。

このランクルの放電テストをしたところ、暗電流は0.02Aで正常でした。

 

放電が正常となると充電系統に異常があることが考えられます。

 

 

オルタネーターの充電テスト

オルタネーターとはファンベルトで回されている車のバッテリー充電器です。

オルタネーターの充電を見る為にエンジン始動中にバッテリー電圧を測ってみました。

 

通常エンジンのかかっていないバッテリーは12.60V位を示します。

エンジン始動後はオルタネーターが発電するので13.50V~14.0V位になります。

 

充電テストをするとなぜか右のバッテリーだけ充電量が低いです。

測定すると12.10V程度。

 

これではバッテリーが消費するだけです。

ランクル80

しかし、オルタネーターがダメなら2つのバッテリーが同時に上がるはずです。

充電されていない右バッテリーからオルタネーターまでの回路を点検してみます。

 

 

コンバーターをチェック

今回は右側1つのバッテリー上がりなので、上がったバッテリーの方の回路に異常があるはずです。

配置図

資料を見るとオルタネーターから左のバッテリーは配線が直結されていました。

右のバッテリーを充電するにはボルテージコンバーターリレーを通過しなければならないようです。

ランクル80

ボルテージコンバーターリレーには正常に電圧が来ているので、「ボルテージコンバーターリレーか、ボルテージコンバーターリレーからバッテリーまでの配線」のどちらかの故障だと考えられます。

 

 

ボルテージコンバーターの点検

エンジンキーを回すとボルテージコンバーターリレーの中から「ガチン」といった作動音が聞こえたので、本体は大丈夫だと思い、とりあえず配線を点検しました。

ランクル80

ボルテージコンバーターリレーからバッテリーまでの線に導通がないのでどこかで断線しているはずです。

線をよく見ると接点部分が焦げていました。

 

緩みがあったので、リークして発火していたようです。

清掃して締め付けると配線が導通しました。

※上の画像にある4つのナットの左側が溶けている。

 

充電テストすると右のバッテリーにも充電されるようになりました。

無事にエンジンもかかります。

ランクル80ディーゼルのエンジン始動の仕組みは右のバッテリー容量でスターターリレーをonにして導通させ、左のバッテリーがスターターリレーを通過してセルモーターを駆動します。

※下の画像の金色の箱がスターターリレー

ランクル80

今回は右のバッテリーが弱かったので、リレーがon.offを繰り返し「ガチガチガチ」といってスターターリレー内で断線状態のため左のバッテリーがセルモーターまで電気を流す事ができていませんでした。

ですのでどちらかのバッテリーがダメでもエンジンはかかりません。

 

時々ガチガチ音が出て右側のバッテリーが弱っている時はボルテージレギュレーターを点検してみるといいと思います。

 

 

ランクル80のエンジンがかからない原因と修理費用まとめ

平成7年式 型式HDJ81 走行110000KM

メーカー 車種トヨタ ランドクルーザー80
症状エンジン始動不良
ガチガチ音
臭い
なし
振動 
なし
原因
ボルテージコンバーターリレーの接触不良による右側のバッテリー上がり。
作業内容ボルテージコンバーターリレーの配線部分を目視点検。接触不良箇所は電気熱で溶けているので、清掃、締め付け、接点復活材などの処理。運転席前方のバッテリー充電。
作業難易度[star rating = "5"]難しい 作業自体は簡単。どこが異常かの判断は素人では難しい
修理代
ボルテージコンバーターリレーの溶け具合がひどいと交換で5万円。修理で直れば7000円。
後の支障
かかりにくい時はセルモーターを何度回すので、バッテリー上がりと、ボルテージコンバーターリレーが故障しやすい。セルスイッチとスターターリレーも作動回数が増えるので接点が磨耗しやすくなる。
車買替レベル 

[star rating = "4"]要検討  修理で直ればいいが部品交換となると生産中止部品が多数あるので乗り続けるのは大変。

 

 

 

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