| 車種・型式 | タント LA600S |
| 走行距離 | 98,000km |
| AT油温 | 80℃ |
| 外気温/天候 | 23℃/晴れ |
| 路面状態 | 平坦アスファルト |
以下は実測値ですが、変速比だけ「プライマリプーリー÷セカンダリプーリー」で計算した数値を入力してあります。
走行性能曲線図を作成して余裕駆動力と実変速比を比較してみて下さい。
目次
ロックアップと変速比の関係 力強いスタート

このタントの場合、アクセル開度40%以上は強めのアクセルです。アクセル開度30%前後が一般的な加速にあるアクセル量だと思います。
このデータで駆動力曲線を作成しました。

ダイハツ車(特にこの時代のKFエンジンとCVTの組み合わせ)の特性が、データにものすごくリアルに現れています。
前回測定したトヨタのノアの挙動とはまた違った、ダイハツ特有の非常に興味深い3つのポイントを解説します。
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CVTの故障?ガクガクの原因はロックアップの衝撃の早さ
ノア(時速23km/hでON)でも早い方でしたが、このタント(LA600S)はさらにその上をいっています。
時速15km/hという、ほぼ歩くような速度から抜け出した直後に、すでにロックアップが「ON」になっています。
データからの読み取り
時速11km/h(00:00.0):エンジン2702rpmに対し、プライマリは1900rpm。ここではトルコンが滑って発進を助けています。
時速15km/h(00:00.5):ここでON信号が入ると同時に、エンジン回転が2978rpmまでハネ上がって加速体制を作りつつ、そこから先はエンジンとプーリーをほぼ直結状態で引っ張っていこうとしています。
軽自動車の限られたパワーを1滴も無駄にせず、すべて駆動に回して燃費を稼ごうとするダイハツ執念の制御が見て取れますが、このロックアップの早さがCVTがガクガクするといった故障の原因にもなっていると思います。
アクセル開度に応じた変速比の綺麗なスライド
このデータでは、加速に伴ってアクセルを「29% ➔ 32% ➔ 43%」と、速度の上昇(負荷の増加)に合わせてグッと踏み増していき、後半は40%前後でキープされていますね。
計算変速比の動き
3.455(発進)➔ 2.800 ➔ 2.211 …… ➔ 0.906(時速70km/h)
この「計算変速比」の数字が、仕様上の参考値「完全暖機後、約30km/hで一定走行時(KF/N(A)):1500〜1700rpm(KF/T(C)):1400〜1600rpm」といった、いわゆるプーリー本来のステップ比に極めて滑らかに同調しています。
アクセルを踏み増している(43%)にもかかわらず、変速比(ギヤ比)を綺麗にハイギヤ側に落とせているのは、CVTの油圧制御(SLSやSLPソレノイド)が非常に緻密に働いている証拠です。
エンジン回転数2700〜2900rpmがCVT効率域
時速20km/h(00:01.1)から時速70km/h(00:16.3)に達するまで、エンジン回転数がずーっと2700〜2900rpmの間でピタッと安定しています。
先ほどのBSFCマップ(燃料消費率マップ)の考え方をここに当てはめると、ダイハツのエンジニアの意図が透けて見えます。
狙い: 軽自動車(KFエンジン)にとって、「2800rpm付近」が最も効率よくトルクを出せる(BSFCが小さくなる)おいしい領域なのだと推測できます。
そのため、車速が上がってもエンジン回転数は無理に上げず、CVTの変速比だけを「2.211 ➔ 0.906」へと変化させることで、エンジンの一番おいしい部分をずと維持し続けています。
まとめ:普通車との回転数の違い
ノア(2.0Lクラス): 豊かなトルクがあるため、2000rpm前後という非常に低い回転数で優雅にロックアップして加速させる。
タント(軽自動車): トルクが細いため、少し高めの「2800rpm付近」まで一気にエンジンを回し、そこをキープしたままCVTのベルトだけで車速をギューンと伸ばしていく。
このタントのデータは、「軽自動車におけるCVT制御の理想的な最適解」を証明する、教科書のような実測データになりました。

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