スズキのスペーシアがアイドリングストップがしなくなったので修理しました。
以下は今回不具合が発生したスペーシアの具体的な症状です。
- メーター内オレンジ色のAランプ点滅
- アイドリングストップがしない
この2つですが、Aランプは以下のようなアイドリングストップ警告灯です。
このランプがオレンジ色に点滅しているとアイドリングストップ機能を停止させるようになっているので、点滅の原因がわかればアイドリングストップしない原因もわかることになります。
ここでは点滅の原因を調べて修理しましたので修理内容と修理費用をご紹介いたします。
目次
スペーシアのアイドリングストップ作動条件
まず最初にアイドリングストップが作動する条件からご紹介します。
- アイドリングストップスイッチOFFになっていない
- バッテリーの充電が基準値以上
- 冷却水温度が80℃以上
- CVTフルード温度が基準値以上
- 運転席ドアが開いていない
- 運転席シートベルトがついている
- シフトレバーがDの位置にある
- ブレーキをしっかり踏んでいる
- ハンドルを動かしていない
- 急な坂ではない
以上の条件が揃っていれば以下のようなアイドリングストップが作動可能をお知らせする緑のアイドリングストップランプがメーター内に点灯します。
このランプが点灯すればアイドリングストップは作動します。
アイドリングストップしない時は、まず上の条件を確認する事から始めて下さい。
今回は下の「A OFF」ランプが点滅し強制的にアイドリングストップ機能を停止している状態でしたので緑のAランプがつくことはありません。
ここでは、このランプが点滅している原因を調べていきますが、バッテリーを交換された方は焦らず、次で紹介する点滅を消す方法だけは試して下さい。
アイドリングストップ点滅の消し方
バッテリー交換後もアイドリングストップが点滅していると、どこかが故障していると思ってしまいます。
故障を疑う前に2日ほど様子を見て下さい。
バッテリーにはセンサーが付いており、電圧を測定してエンジンコンピューターに送っています。
コンピューターはエンジン始動、走行、エンジンOFFを1セットと考えて1セット始めの始動時に電圧を記憶します。
この作動を数回繰り返し、過去4セットほどの電圧の平均値が基準値以上になればアイドリングストップが復帰します。
以下で紹介するバッテリーセンサー点検も参考にして下さい。
アイドリングストップA↩️OFFが点滅する原因
このアイドリングストップOFF警告灯が点滅するのは以下の理由があげられます。
- ブレーキランプスイッチの故障
- ボンネットオープンスイッチの故障
- アイドリングストップOFFスイッチの故障
- 運転席ドアスイッチの故障
- 運転席シートベルトスイッチの故障
- 傾斜センサーの故障
- 水温センサーの故障
- バッテリーセンサーの故障
- ブレーキ圧力センサーの故障
- アクセルセンサーの故障
- リチウムイオンバッテリーの故障
- 各コンピューターの故障
以上ですが点滅理由を見てみると、作動条件と関連している箇所が故障していると警告灯が点滅するようです。
ですので、まずは作動条件を満たしているかどうかの確認が大事になります。
作動条件を満たしているようでしたら点滅理由を1からチェックしていきます。
事項で1~5番までの簡易的なチェック方法をご紹介いたします。
6番以降は故障診断機が必要で整備士向けになりますので、ページ後半にご紹介します。
ブレーキランプスイッチの点検
ブレーキを踏んでブレーキランプが点灯すれば正常です。
ボンネットオープンスイッチの点検
ボンネットを開けて、しっかり閉め直します。
アイドリングストップスイッチの点検
スイッチを操作して、OFFの時にメーター内にAUTO OFFが点灯すれば正常です。
運転席ドアスイッチの点検
ルームランプをドアにセットし、運転席ドアを開けた時にルームランプが点灯すれば正常です。
運転席シートベルトスイッチの点検
シートベルトを外すとメーターにシートベルトランプが点灯すれば正常です。
以上ですが、アイドリングストップしない時の最もよくある故障を事項でご紹介します。
アイドリングストップ緑が消える原因
緑のAUTOランプが点灯していればアイドリングストップがするはずですが、ブレーキを踏んで止まった瞬間、緑のランプが消えてしまう事があります。
緑のランプが消えるとアイドリングストップはしませんが、ランプが消えるよくある原因は液体温度が基準値より低い事が考えられます。
関係のある液体温度
- ロングライフクーラント
- CVTフルード
- バッテリー電解液
- エンジンオイル
これらの温度が基準値以下ですとアイドリングストップはしません。
信号待ちで止まった瞬間に緑のランプが消えるようでしたら、もうしばらく走行するとそれぞれの液体温度が上昇するのでアイドリングストップが作動するようになります。
スペーシアのアイドリングストップがしない原因
作動条件を満たしているのにアイドリングストップがしない場合は、システムのどこかに異常があります。
しかも今回はAランプが点滅しているので、故障診断機を繋げれば原因が特定できます。
診断機の結果は以下です。
補助電源モジュール異常
これはリチウムイオンバッテリーの異常の事です。
故障コードは
- P137A 補助電源モジュールLow異常
- P1361 補助電源モジュール性能低下
- P130B BMU内部異常
- P137D 補助電源モジュールセル電圧バランサ異常
P137AとP1361 はリチウムイオンバッテリーの電圧が低すぎる事を示しています。
P130Bはリチウムイオンバッテリーシステムが正常に作動していない事を示しています。
電圧が低すぎてこのコードも出ています。
P137Dはリチウムイオンバッテリーの内部セルの電圧にバラツキがあることを示しています。
全てのコードの意味をまとめると以下になります。
バッテリーセルの電圧がある箇所とない箇所が発生して全体の電圧が下がり性能低下と判断し、システムが正常に作動せず内部異常となった。
以上の事から補助電源モジュール本体の異常と判断できます。
リチウムイオンバッテリーはハイブリッドバッテリーと仕組みが似ています。
アクアのハイブリッドバッテリーの異常警告灯の消し方でセルやモジュールの説明をしているので参考にして下さい。
リチウムイオンバッテリーの役割
このタイプのリチウムイオンバッテリーはハイブリッドバッテリーではありません。
アイドリングストップを補助するためのバッテリーです。
アイドリングストップ中も通常使用時と同じように車を機能させなければなりません。
例えば夜でしたら信号待ちでヘッドライトを切るわけにはいきません。
エアコンの風も止めてしまうと不快です。
渋滞で止まる度にステレオやナビの電源が落ちてしまうととても不便です。
そのような時に使う消費電力は割りと多いので通常のバッテリーだけですと消費が激しく、長い時間アイドリングストップが出来ません。
快適に長くアイドリングストップさせる為にスペーシアは通常のバッテリーに加え起電力の高いリチウムイオンバッテリーも搭載しました。
リチウムイオンバッテリー比較データ
リチウムイオン故障補助電源モジュール電圧 | 3.56V |
補助電源モジュール充電状態 | 0% |
補助電源モジュール電圧 | 12.17V |
補助電源モジュール充電状態 | 52% |
故障診断機を繋いで、アイドリングストップのデータモニタを見ると上記データが見れます。
リチウムイオンバッテリーの良否を判断するにはこの2つで十分です。
補助電源モジュール電圧は通常バッテリーの起電力12V以上が必要です。
この車はモジュールの異常で3.56Vの電圧になっています。
モジュールは複数使っていて全部直列で繋がって12Vになるので1つのモジュールが故障すると電流が流れず充電できません。
充電0%では放電電流はないのでアイドリングストップ中に電気量を補助することはできません。
その為、警告灯を点滅させてアイドリングストップを停止していました。
リチウムイオンバッテリーを交換する
リチウムイオンバッテリーは助手席シート下にあります。
シート座面を持ち上げれば作業ができるので簡単ですが、最初にエンジンルーム内のメインバッテリーのマイナス端子を外すのを忘れないで下さい。
※電気系の修理前にバッテリーのマイナスを外すのは思わぬショートで怪我や部品故障を予防するため。
↓黒いカバーを外すとカプラーと端子が見えます。
↓拡大画像です。
↓端子とカプラーを外します。
化学反応で発生するガス抜きホースも外します。
後は固定されているボルトを4本外せば交換できます。
交換後の初期設定はないので、そのまま使えますが、メインバッテリーを外したのでパワーウィンドウの初期設定だけ行って下さい。
スペーシアのパワーウィンドウの初期設定のページも参考にして下さい。
リチウムイオンバッテリーの交換費用
リチウムイオンバッテリー | 60000円 |
工賃 | 5000円 |
合計 | 65000円 |
このスペーシアはリチウムイオンバッテリーが故障してもアイドリングストップが効かなくなるだけで、通常走行はできます。
スペーシアハイブリッドなど、スズキ自動車のマイルドハイブリッドタイプ車のリチウムイオンバッテリーが故障したまま走行を続けるとメインバッテリーが上がってしまうので注意して下さい。
センサーの故障診断
傾斜センサーの点検
助手席前のグローブボックス裏についています。
あまり故障する部品でないので、異常がある時は配線の緩みや外れが考えられます。
点検は目視で取付を確認して下さい。
水温センサーの点検
水温が低いとアイドリングストップはしません。
水温センサーの感度が弱っている場合、アイドリングストップが機能するまで時間がかかります。
ヒーターの効きが遅い、ヒーターが効かないなどの症状がある場合はサーモスタットなど冷却装置を点検して下さい。
バッテリーセンサーの点検
バッテリーの端子付近に付いています。
電圧と電流を測定して計算し充電量と始動性を管理しています。
異常か判断するには、診断機のデータモニタを見ます。
バッテリー条件がOKかNGで表示されます。
バッテリーを新品に交換してもNGの場合、
「エンジンをかける10分走行(1度は時速40km以上出す)してエンジンを切る」
を4回位繰り返します。
そうする事でバッテリーが満充電され、なおかつ始動時の電圧降下の平均値が新品バッテリーのものに書き換えられるのでバッテリー条件がOKになります。
それでもNGの場合、センサーを疑います。
ブレーキ圧力センサーやアクセルセンサーも同様に診断機で確認します。
メインバッテリー交換で直る事が多い
アイドリングストップがしない時は、メインバッテリーの交換で直るケースがほとんどです。
メインバッテリーサイズはM42
リチウムイオンバッテリーが故障するのはあまりありません。
アイドリングストップ警告灯が点灯、点滅したり、アイドリングストップしない時はまずバッテリーを点検して下さい。