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デリカのブレーキが弱い故障はキャリパー固着
ブレーキが効かない訳ではないですが、制動距離が長い感じがします。
強く踏めばそれなりに急ブレーキがかかり、普通に踏めば普通程度に止まるような気がします。
三菱、デリカD5、平成27年
ブレーキペダルがフワフワした感じで柔らかいことが気になります。
ペダルを強く踏むと床についてしまうほど柔らかいです。
この状態では急ブレーキの時は止まれないのではないかと思ってしまいます。
調べるとブレーキキャリパーの固着でしたが、キャリパー固着の判断方法と修理費用を解説するので参考にして下さい。
ブレーキオイルとエアー混入の点検方法
ブレーキが弱い時はブレーキキャリパーを点検する前に基本的なブレーキオイルの漏れとエアー混入をチェックします。
キャリパーを直してもどこからかエアーを吸い込んでしまうようですとまたキャリパーに不具合が出るので、オイルとエアー点検は大事です。
今回はブレーキオイルは入っていて、踏み込んだ位置でペダルは保持していられるので、ブレーキオイル漏れは考えられません。
実際に車検の完成検査では制動力が出ていたので、エアー混入も問題なさそうでした。
参考ページ:「車検整備で見るブレーキ検査」
ブレーキマスターバックの点検方法
マスターバックとはブレーキ倍力装置です。
エンジンの吸い込むエアーを利用してブレーキを踏む力を増やす装置です。
ブレーキペダルの付け根についている黒い円盤型の部品です。下の画像を参考にして下さい。
エアーを使っているので、本体やエンジンと繋いであるホースからエアー漏れがあると機能しません。
エンジンのエアーを使っているので点検は簡単で、エンジン停止中にペダルを数回踏むとペダルが固くなり、エンジンを始動すれば柔らかくなれば正常と判断できます。
マスターバック(ブレーキ倍力装置)は正常に機能していました。
ブレーキマスターシリンダーの点検方法
上の画像のパイプが2本ついているのがブレーキマスターシリンダーです。
その奥の黒い円盤がブレーキマスターバックです。
マスターシリンダーは内部に2つのピストンが入っており、「前輪の油圧」と「後輪の油圧」の保持に使われます。
ピストンが固着するとブレーキが弱くなりますが、制動検査すると前後とも同じように効くのでマスターシリンダーの2つある1つのピストンが固着という事も考えられません。
ブレーキペダルが深い分だけペダルが動くので、マスターバックの負圧エアー音はどうしても大きくなりますが、これも正常でした。
※負圧エアー音はブレーキペダルを踏んだ時に出る「シュー」といった音。
ブレーキが効く仕組み
先ほども説明しましたが、マスターバックはブレーキペダルの先端に繋がっていて、エンジンの燃焼に必要な空気の吸引力を利用してブレーキペダルを踏む力を増幅させています。
マスターシリンダーはマスターバックの先について、ブレーキオイルを各車輪のブレーキパッドまで送る役目です。
ブレーキが効くまでの作動を順番に説明します。
- ブレーキペダルを踏む
- マスターバックが力を増してマスターシリンダーを押す
- マスターシリンダーのオイルが4つの車輪にあるブレーキキャリパーのピストンを押す
- ブレーキパッドが押されローターを挟む。
以上の流れから、ブレーキペダルが柔らかい原因は絞られてきます。
3番までは正常でしたので残りのピストン、パッド、ローターになります。
ローターはタイヤと一緒に回転しているだけなので除外して考えます。
ブレーキキャリパーの固着の点検方法
効きが弱い原因はブレーキキャリパーのピストンかブレーキパッドに絞られました。
ブレーキパッドの残量がかなり多いので交換して間もないはず。
ブレーキパッドを新品に交換した後よく聞くクレームで、ブレーキが効かなくなったという症状があります。
新品に交換すると効かなくなる理由ブレーキパッドは常にローターに接触しているが、力はかかっていません。
ブレーキペダルを踏んで力をかけるとピストンが押されます。
そのピストンはブレーキパッドが減ってくると、どんどん外に出てきます。
出てきたピストンは空気に触れて錆びてきます。
その状態でブレーキパッドを新品にすればピストンを縮めなければならないので、錆びているピストンがキャリパーに入り動きが渋くなります。
ブレーキキャリパーをオーバーホール
下の図の赤色がピストン。横の12番がゴムパッキン。
正常ならゴムパッキンの上をピストンが滑って出たり入ったりしますが、錆びているとピストンにパッキンが引っかかり、ゴムパッキンがよじれるだけでペダルを離した時によじれ分だけピストンが大きく戻ってしまいます。
正常だと飛び出たピストンは戻らず、パッドに力なく触れている状態を保ちますが、錆で動かないピストンは飛び出ても元の位置まで戻ります。
実際のピストンの戻る距離はほんのわずかですが、ピストンを動かすブレーキオイル量はピストンの入っているキャリパーの体積となるので、ブレーキオイルは倍以上流れ、ペダルはかなり大きく踏む事になり、ペダルが「深い」とか「柔らかい」といった症状になります。
直すにはブレーキキャリパーをオーバーホール(分解)して錆びをとり清掃して組みつけます。
もしくはパッドを外した状態でブレーキペダルを少しずつ調整しながら踏み、ピストンをブレーキパッドに接するまで押し出す。
ピストンがパッドに触れる位置まで出たら組つけます。
これも錆がそれほどひどくなければ1000kmほど走ればブレーキの踏み込み量も元に戻ります。
逆に戻らなければオーバーホールが必要です。
キャリパーの寿命はブレーキパッド交換で決まる
キャリパーはオーバーホールすれば何年も使えるので特に寿命はありませんが、オーバーホールするまでを寿命と考えるものとして解説します。
ブレーキキャリパーの寿命は走行距離ではなく、年数が関係してきますが、錆が発生しやすい海沿いや雪道を利用していますとキャリパーの寿命は早くなります。
走行距離は多い方がキャリパーのピストンを動かすので固着しにくくなります。
あまり乗らない車は錆で固着しやすいです。
また、ブレーキパッドが減るとピストンが出るのでピストンブーツが伸びてきます。
ブレーキパッド交換時にピストンを縮めますが、ブーツ内のエアーを抜いてブーツも綺麗に折りたたみながらキャリパーに収納しないとキャリパーに水分が混入して錆びて固着に繋がります。
ブレーキパッド交換は丁寧に作業してもらえる整備工場にお願いしましょう。
ブレーキキャリパーオーバーホール費用
平成27年式 型式CV1W 走行90000KM | |
メーカー 車種 | 三菱 デリカD5 |
症状 | ブレーキペダルが深い |
音 | メーター裏あたり「シュー」音 |
臭い | なし |
振動 | なし |
原因 | ブレーキパッド交換でピストンの位置が変わり、錆がシリンダーに当たり動きが悪くなった。 |
作業内容 | ブレーキパッドを外してペダルを踏みピストンを少しだけ出す。もしくはブレーキキャリパーを分解清掃。 |
作業難易度 | [star rating = "5"]難しい ブレーキは認証工場で作業しなければダメ。 |
修理代 | ブレーキキャリパーの分解清掃1ヶ所5000円 4輪で20000円。ブレーキオイルが3000円、合計28000円。 ブレーキピストンをを出すだけなら4輪で7000円。 |
後の支障 | 錆がひどいとブレーキが固着して引きずり、パッドとローターが故障する。 軽い錆なら走行していると自然に直る。 |
車買替レベル | [star rating = "2"]不要 比較的軽い故障なので買い替えを検討するほどではないが、ブレーキペダルの感覚は車によって違うので怖ければ買い替えを検討した方が良い。
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