エンジン警告灯が点灯しているウェイク。アイドリング中ではエンジンの揺れに合わせて振動する。
アクセルを踏むとガクガク振動しながら加速していくが、なかなかスピードが出ない。
ダイハツ ウェイク H27 LA700S 8万km。
同じダイハツのタント、ムーヴ、ミラで同じような症状が出た場合はエンジンとセンサが同じなので参考にしてほしい。
警告灯が点灯しているのでOBD診断機で検査すれば故障コードから何が悪いか簡単に判断できる。
このページは
- 整備マニュアルを見て修理するのが面倒な整備士の方
- 整備士ではないが故障の原因と修理代を知りたい方
に向けて書いている。
なお、車検を安くした方は「車検どこがいい?人気ランキング」で選ぶと安心して良い車検になる。
目次
アクセルを踏むとガクガク振動する原因
アクセルを踏むとガクガク振動して、なおかつ走りが悪い。そしてアイドリングもガタガタして不安定、となると診断機を使わなくても故障個所は絞られてくる。
走りが悪いがアイドリングも悪いため、ミッション系は除外して考える。
アイドリング不調と加速不良の両方に関係するのは大きく分けると
- 点火系
- 燃料系
- 吸入空気系
の3つ。
点火系はスパークプラグ、イグニッションコイルなど。
燃料系は燃料ポンプ、フィルター、インジェクターなど。
吸入空気系はエアフロ、ISCバルブ、スロットルバルブなど。
この外には物理的な亀裂によるエアの吸い込みや燃料漏れなどが考えられるが、エンジン警告灯が点灯しているので診断機で故障コード及び、故障発生時のセンサ状態、現在の各センサ数値を見てみる。
エンジン警告灯 オレンジ色点灯原因
車についているコンピューターは異常があると上図のエンジン警告灯をメーター内に点灯させて異常を運転者に知らせる。
エンジン警告灯が点灯しない故障もあるが、今回は点灯しているので診断機で見ることができる。
運転席右下にあるOBDⅡのソケットに故障診断機を繋ぎ、エンジンの項目を診断する。
エンジン以外にもミッション系、ブレーキ、エアバッグなども診断機で異常を見る事ができきるが今回はエンジンのみをチェック。
故障コードが2つ出ていた。「P1399とP0303」この2つが何を示しているのか内容を見てみる。
イオン電流システム 故障コードP1399
P1399の故障コードは「イオン電流システム」
上の整備資料の回路図を見るとスパークプラグの上に付くイグニッションコイルにイオン電流検出回路が組み込まれている。
この車両のスパークプラグ点火システムは専用のスパークプラグを使用して燃焼するとイオン電流をイオン電流検出回路に信号を送る仕組み。
上図はダイハツの整備マニュアルの1部だが、このように燃焼する事でイオン電流が流れている。
このイオン電流がないと失火しているので、どこかの気筒が異常と言う事。
これだけではわからないので、もう1つの故障コードも見てみる。
3気筒の失火 故障コードP0303
「P0303 失火#3気筒」これはエンジンの3番シリンダーのガソリンが燃焼していないことを示す。
先ほどの回路図では一番下の回路が3番シリンダーにあたる。
2つのコードを組み合わせて考えると3番シリンダーのイオン電流検出がされていない為、失火している。
失火の原因は燃料系、吸入空気系、点火系のすべてが関わる。
燃料が送れなければ燃焼しない。吸入空気も送れなければ燃焼しない。点火もしなければ燃焼しない。
3番が失火した原因を探求する。
故障発生時のフリーズフレームデータを見る
故障診断機にはフリーズフレームデータといって故障コード発生時にエンジンの各センサの数値を記録する機能がある。
この仕組みを利用すると「アクセルを踏み込んだ時に異常が発生したのか?」や「50km付近しか異常がでない」など複雑な故障探求が可能になる。
今回のP1399が発生したフリーズフレームデータを見ても正常値と変わらない為、異常が分からない。
しかし、現在もアイドリングが不安定なので現在のデータを見てみる。
データ・モニタで失火情報を見る
参考資料 実車データ ウェイク【故障データあり】
上のページでエンジンのセンサーから出力されるすべての数値が見れる。
上は大量のデータが入っているが、今回は失火コードが出ているので失火カウンタの項目を見てみる。
#1気筒失火カウンタ | 0 |
#2気筒失火カウンタ | 0 |
#3気筒失火カウンタ | 34 |
この数値は100回点火したうちの何回失火したか。3番シリンダーは34回失火している。
100回失火しているような完全失火ではないので電気部品の作動不良の可能性は低く物理的な故障が考えられる。
吸気管圧力で圧縮不良を見る
上図は整備書のインマニのイラスト。吸気管圧力はインマニについている圧力センサー。
スロットルバルブからエンジン燃焼室までの気圧を測定している。
エンジンがかかっていて、スロットルバルブが閉じていればエンジンが空気を吸い込むので空気が減り気圧が下がる。
スロットルバルブを開くと空気が流入するので気圧が上がり大気圧に近づく。
スロットルバルブを閉じているのに気圧が高くなるのは想定外のエアーの吸い込みやエンジンの圧縮不足による空気の流入量が少ないなど。
実測値 吸気管圧力 | 52kPa |
基準値 吸気管圧力 | 32~52kPs |
失火によって空気の吸入力が弱っているため、基準値上限まできている。
ちなみに大気圧が100kPs位。
整備マニュアルでは失火コードが出てる時は吸気管圧力を見ることになっているが、そもそも吸気管圧力は気筒全部に影響するので1つの気筒が失火する場合は見なくてもいい。
エアーの吸い込みや燃料ポンプなどの調子が悪ければ、気筒全部がランダムに失火カウントされるので故障診断から除外できる。
そうなると残りは3気筒のスパークプラグ、イグニションコイル、インジェクタのどれか。
インジェクタが正常なら残るは点火系のプラグとコイルになる。
燃料噴射,ISC流量でインジェクタ(燃料系)を判定
燃料噴射量1番気筒の10回噴射分。燃料はエンジン2回転で1回噴射
実測値 燃料噴射量 | 0.085ml |
基準値 燃料噴射量 | 0.07~0.15ml |
失火によるアイドリング安定させる為に吸入空気量を多くしているので、燃料噴射も若干多くなっているが、基準値内。
燃料噴射時間
1番気筒の噴射時間。
実測値 燃料噴射時間 | 3.58ms |
基準値 燃料噴射時間 | 2~6ms |
吸入空気量によって変化する。アイドリング安定させるために吸入空気量も多く、噴射時間も若干長いが基準値内。
ISC流量
実測値 ISC流量 | 2.446L/s |
基準値 ISC流量 | 0.2~1.8L/s |
ISC流量はスロットルバルブからの流入空気量。安定したアイドリングにする為に空気量を調整している。アイドリングが安定していないのでエンストさせないように流量を増やしているためと思われる。
燃料は正常なので、次は点火系を見る。
スパークプラグとイグニションコイルを点検
スパークプラグとイグニションコイルの点検では目視で点検。
まずはイグニションコイルとスパークプラグを3本全部外す。
イグニションコイルはリークすると白く焼けるが、そういった形跡はない。
下図は外したスパークプラグ。一番左が3番気筒。
そのプラグだけガソリンで湿っているのがわかる。
注意※P0303が出力されるとフェイルセーフが働き3番気筒の燃料がカットされてしまうのでスパークプラグの目視チェックは故障コードを消去してからエンジンを1度始動した後に行なった。 |
※フェイルセーフはエンジンに異常がある時に安全を確保できる場所まで移動できるようにするのとマフラーなどが高温にならないようにエンジンを保護する作動。車によって制御内容が違うので必ず車種別で確認すること。
今回は3番が失火なので、3番のスパークプラグとイグニションコイルを外し外で点火テストする。
上図は2番気筒のイグニッションコイルに3番気筒のプラグを装着して3秒ほどクランキングし火花が出るかチェックした。
火花が出ていない。
火花が出ると下の画像のように火花が見えるが、ガソリンに引火するのでシリンダーからは離れた箇所のアース部分に近づけて行う事。
診断機のデータ・モニタを見ると2気筒の失火カウンタの数値が85になっていた。
入れ替える前の故障診断では2番の失火カウンタは信号を出していないので、2番のコイルは正常。
そうなると装着した3番のスパークプラグの故障と言う事になる。
念のため、2番のコイルに2番のプラグを装着すると火花が確認できたので、3番気筒のスパークプラグの故障で確定。
整備に詳しい方なら最初からスパークプラグとIGコイルを点検していくほど、定番故障。
プラグなど点火系の故障診断でよくある失敗
タントやムーヴの故障でも以下の確認をしっかりしておかないと間違った部品を交換してしまう事があるので注意が必要。
先ほどのスパークプラグとイグニションコイルの点検でも解説したが、P0303の3気筒失火が故障コードとしてコンピューターに残っていると触媒を高温から守るため3気筒だけ燃料噴射を止めてしまう。
そのため、その状態で故障している3番気筒のスパークプラグと2番気筒のスパークプラグを入れ替えても3番気筒は燃料噴射をしないので失火したまま。
しかも2番気筒に付けたスパークプラグは故障しているので、2番と3番が失火してエンジン不調どころかエンストしてしまう。
これでは
- イグニションコイルも故障しているのか?
- インジェクターも故障しているのか?
と混乱してしまい、正確な故障診断ができない。
そのため、部品を入れ替えて点検する場合は故障コードを1度リセットしてから作業する。
もしくは、入れ替えた状態で故障コードをリセットしてエンジンをかけて、10分ほど走行し、再度、故障コードを読みとることで、どこのスパークプラグが故障しているか分かる。
フェイルセーフが働くと燃料や点火をカットしたり、吸入空気量を一定にしたり、など他の故障と勘違いしてしまうケースがあるので故障コードの確認と同時にフェイルセーフ機能も確認しておくと安心。
今回は整備マニュアルに沿って診断を進めてみた。
ウェイクの振動の原因と修理費用
平成27年式 型式LA700S 走行80000KM | |
メーカー 車種 | ダイハツ ウェイク |
症状 | アイドリングでガクガク振動、加速しない |
音 | アクセル踏むと ボコボコ音 |
臭い | 排気ガスが臭い |
振動 | アイドリングでガタガタ |
原因 | スパークプラグ本体の消耗 |
作業内容 | イグニッションコイルを外してスパークプラグを交換 |
作業難易度 | [star rating = "2"]簡単 交換作業はプラグレンチがあれば簡単。しかし、まっすぐ力を入れないとプラグが折れる事もある。折れるとエンジンを分解しなければならないので重大な故障になる。 |
修理代 | スパークプラグ2500円×3本、工賃2500円。合計10000円。 |
後の支障 | プラグ失火による大電流と振動でイグニッションコイルが弱る |
参考 |
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