| 車種・型式 | スマイル MX91S |
| 走行距離 | 15,000km |
| AT油温 | 80℃ |
| 外気温/天候 | 26℃/晴れ |
| 路面状態 | 平坦アスファルト |
アイシン・エイ・ダブリュ製AWFCX11型 電子制御CVTを使用
目次
マイルドハイブリッドのトルクは大きい
マイルドハイブリッド用モーター「WA04C型」
| 最高出力 | 1.9kW-1500rpm |
| 最大トルク | 40Nm-100rpm |
エンジンR06D
| 最高出力 | 36kw-6500rpm |
| 最大トルク | 58Nm-5000rpm |
このエンジンでエンジン性能曲線図を作成しました。

1500rpmの時のトルクは42Nmです。
アクセル全開の場合、マイルドハイブリッドモーターのトルクは12.1Nmです。
P:最高出力 = 1.9 kW = 1900 W
N :回転数 = 1500 rpm
T :モータートルク(N·m)
計算するとアクセル全開の場合、マイルドハイブリッドモーターのトルクは12.1Nmです。
合計で54.1Nmなので、計算上ではスズキのエンジン単体のMAXトルクに近いのでとても大きなパワーを出しています。
しかし、モーターパワーは数秒だけです。そのパワーアップした瞬間のCVTの変速タイミングを合わせなければパワーを減少させ、乗り心地も悪化します。
加速中のCVT変速比とロックアップデータ

変速比はラパンと比較すると高めです。車重がラパンより重いのでトルクを大きくするために変速比を落とさないのかもしれません。
このスマイルの加速データで駆動力曲線図を作成しました。

すべて重なって見にくいですが、実測駆動力は高くなっています。これは速度の割にエンジン回転数が高いことを示していますが、出だし数秒のエンジン回転数はマイルドハイブリッドモーターによって倍増されています。
ゆっくりスタートした場合のロックアップタイミング

15km/hでロックアップしています。ロックアップが早いですが、そうなるとエンジンとミッションのつながりが強く乗り心地は悪くなりがちです。
減速中や渋滞中のロックアップ制御も見て下さい。
減速中のロックアップ解除タイミング

減速では早めにロックアップ解除して回転を軽くしてエンジン回転を高く保つ設定なのでしょうか?
エンジン回転を高くしてSエネチャージで回生ブレーキを使ってエンジンブレーキと発電をしていると考えられます。
渋滞中の変速比とロックアップ状態

渋滞中はほぼ半クラッチ状態です。この設定でしたら、乗り心地はとても快適ですが、トルクコンバータが滑り過ぎて渋滞中の燃費悪化がありそうです。
同じCVT(AWFCX11型)を使用しているラパンは乗り心地が悪く、データを見るとロックアップが解除されていませんでした。コンピューターの学習が原因かSエネチャージとの組み合わせが原因なのか、車重の違いでトルクコンバーターを滑らせているのか、など原因は多数考えられますが、このデータだけでは判断はできません。
エンジンとモーターのデータも調べてみたいと思います。
CVTがジャトコからアイシンに変更
長年ジヤトコの「副変速機付き」を愛用していたスズキが、ラパンやスマイルでアイシン製に乗り換えたのには、明確な狙いがあります。
「キーン」という音とショックの解消
ジヤトコ製の副変速機は、時速30〜40km/h付近でギヤが切り替わる際に「フッ」という独特の変速段差や、高周波の作動音(キーンという音)が出やすい特性がありました。アイシン製に変えたことで、これが完全に消え、どこまでも滑らかな加速フィールになっています。
徹底的なフリクション(摩擦)ロス低減
アイシン製の新型CVTは、ベルトを細くし、中のオイルポンプを小さく効率化するなど、徹底的に「引きずり抵抗」を減らして作られています。これによって、マイルドハイブリッドや新世代エンジン(R06D型など)の燃費性能を極限まで引き出しています。
CVTはガクガク?マイルドハイブリッド
エネチャージ(マイルドハイブリッド)とCVTの組み合わせで乗り心地の悪化が懸念されます。
特にワゴンRなどR06A型エンジンにジヤトコ製副変速機付きCVTを組み合わせていた時代の「エネチャージ / マイルドハイブリッド車」では、減速するときに独特のギクシャク感(引きずり感やカックンブレーキ感)が出やすい傾向がありました。
原因は、減速中に以下の3つの制御が同じタイミングで発生するからです。
エネチャージの猛烈な回生ブレーキ
アクセルを離した瞬間、リチウムイオンバッテリーへ大電流を回収するため、オルタネーター(またはISG)がギュンと発電抵抗を強めます。これが車体に「エンジンブレーキよりも強い減速G」を与えます。
副変速機のシフトダウンショック
時速30km/h〜40km/h付近まで減速してくると、CVT内部のギヤが高速用(Hi)から低速用(Lo)へと切り替わります。
トルコンのロックアップ解除
さらに速度が落ちると、直結していたトルコンが切り離されます。
この3つが重なった結果
アクセルを離して綺麗に滑空(コースティング)したいのに、「電気的な減速G」と「CVTのギヤ切り替えの段差」が重なって、ドライバーの意図しないタイミングで前のめりになるような不自然な減速感になってしまっていたのです。
しかし、現在のアイシン製のCVTを搭載しているスマイルは制御の精度が高く、乗り心地とパワーと燃費の3つを保持できています。


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