
新車を購入する時に、見た目だけでなく、その車は走りがいいのか、悪いのか?も気になる方が多いと思います。
そこで見るのがカタログの最高出力と最大トルクですが、出力やトルクで何がわかる?と思いますよね。
ここでわかりやすく解説しますので参考にして下さい。
最高出力は馬力!ここだけ見ればOK
最高出力(kW)は馬力(Ps)の事を示しています。
馬力と聞けばなんとなくパワーがあるのかな?と想像できます。
ですがパワーを示しているのはトルクです。
馬力(最高出力)はタイトルにもあるように最大トルクに速さを掛けると算出できます。
これが馬力の正体ですが、計算式からパワーにスピードを加えたのが馬力とわかりました。
わかりやすくスピードで説明すると
- 出力は高速スピードアップ能力
- トルクは発進スピードアップ能力
となります。
大きく分けるとこうなりますが高速スピードアップもトルクが必要なので、全体的に車の性能を判断するなら、どちらも関連している出力(馬力)だけでも参考になります。
出力とトルクを次でイメージしてみましょう。
最大トルクと最高出力のイメージ
エンジン性能はカタログで最高出力と最大トルクで表示されています。
トルクは力で最高出力は仕事率W(ワット)で表します。馬力で表す場合はPSです。
力はなんとなくわかりますが仕事率?はイメージしにくいので以下の例を見て下さい。
荷物をある始点から右に50m移動させる仕事があります。
- Aさんは5秒で50m移動させた
- Bさんは10秒で50m移動させた
この2つは50m右に移動させるといった同じ仕事ですが、その仕事にかかってる時間が違います。
5秒で移動させたAさんの方が仕事率がいいと直感でわかると思います。
このように仕事に時間が関係してくると仕事率になり、仕事率が高ければ優秀な人(高性能)と考えることができます。
力がある人でも早く動かす事ができなければ高性能にはなれません。
車で例えると仕事率は出力なのでカタログで最高出力が高ければ高いほどエンジン性能が良い車となります。
しかし、重い物を運ぶトラックや人数を多く乗せる乗用車などは速さよりも発進する力や坂道を登る力が優先されるので、最大トルクが大きい方が性能が良いと考える場合もあります。
車の重さやトルクなどで加速性能の計算や車を動かすアニメーションを操作できるページも参考にして下さい。
エンジン回転数とトルクがわかれば出力がわかるので、次の計算フォームで計算して確かめて下さい。
わかりやすくトルクで出力計算
トルクとエンジン回転数がわかれば出力を簡単に計算する事ができます。
エンジン性能特性図を使えば希望する色々な回転数の時のトルクがわかるので、車の性能を簡単に知ることができます。
例えば、中速から加速する回転数を見ておけば、エンジン性能特性図のトルクからその時の出力が計算でわかり、他の車と比較することもできてしまいます。
では下で計算してみて下さい。
- 仕事率Pの単位はW(ワット)です。
- 力Fの単位はN(ニュートン)です。
- 速度vの単位はm/s(メートル毎秒)です。
- 駆動トルクTの単位はNm(ニュートンメートル)です。
- タイヤ半径rの単位はm(メートル)です。
- タイヤ回転角速度ωの単位はrad/s(ラジアン毎秒)です。
$$ 仕事率の式 P= F\cdot v $$
$$ 速度の式 v= r\cdot ω $$
この2つの式を組み合わせると下の式になります。
$$ 速度を含めない仕事率の式 P= F\cdot r\cdot ω$$
下記では1馬力(1PS)を735.5Wで計算しています。
出力(馬力)とトルクの関係は下のようなグラフになります。
こちらはアクアのエンジン性能グラフです。
以下グラフの点をクリックして出力とトルクを計算結果と見比べてみて下さい。
4000rpmからトルクは急激に下がりますが、出力はまだ上がっています。
このグラフを見ると高回転域ではトルクが下がっても高出力がでやすい事が判断できます。
グラフからもトルクと出力の説明ができます。
- トルクは低速の加速に関係する
- 出力は高速の加速に関係する
次はトルクとエンジン回転数で変化する出力をイメージしやすくするためにアニメーションの数値をご自身で設定して動かして見て下さい。
回転数,トルク,車重で出力をシミュレーション
こちらのグーネットのカタログから車種を選択すると以下のような性能スペックを見る事ができます。
例)トヨタ ヴォクシー 車両重量1650kg
6BA-MZRA90W エンジン型式M20A-FKS
- 最高出力 170ps(125kW)/6600rpm
- 最大トルク 20.6kg・m(202N・m)/4900rpm
- 車両重量 1650kg
この出力とトルクと回転数を使ってエンジン性能特性データを算出します。
下の入力欄に「最高出力」「最高出力時の回転数」「最大トルク」「最大トルク時の回転数」を入力しますと、アイドリング、立ち上がり、最大トルク時始め、最大トルク時終わり、最高出力時、レブリミット時の①~⑥のデータが取得できます。
そのデータをシミュレーションのデータ入力欄の上から順番に6列目まで入力すると車を動かして性能を比較する事ができます。
使う単位はkW、N•mです。間違えないようにして下さい。特殊なハイブリッドやターボエンジンは使えない場合もあります。
上記数値を下記に入力して車を動かして下さい。気になる車を2台入力すれば出力(馬力)を比較することができます。
📈 車1データ入力 (青色の車)
| RPM | トルク (N・m) | 操作 |
|---|
📈 車2データ入力 (緑色の車)
| RPM | トルク (N・m) | 操作 |
|---|
速度 (km/h): 0.0
RPM: 1000
トルク (N・m): 75.0
速度 (km/h): 0.0
RPM: 1000
トルク (N・m): 75.0
スタートが早い車は登坂や重量が多くても快適に走るパワーのある事がわかります。後半から早くなる車はパワーはないですが、高速を快適に走る事ができるので高速走行が多い人が選ぶ車にピッタリです。
このように2台を比較して、トルクや出力のデータの意味をイメージして下さい。
【注意:上記データは推定値です】
ここで計算したエンジン性能特性データは、公開されているカタログスペック(最大トルク、最高出力など)と、一般的なエンジンの特性曲線の傾向に基づき、推測で算出しています。
正確なトルク・出力の数値データは、メーカーから公式に提供されていません。
したがって、実際の車両やエンジンの性能とは異なる可能性があります。本データは参考情報としてご活用ください。本情報を利用したことによるいかなる損害についても、製作者は責任を負いかねます。
今回はエンジン性能のシミュレーションです。
実際の車の駆動力はエンジントルクだけではなく、ギヤの変速比やタイヤサイズなども関係してきます。
気になる方は駆動力計算ページも参考にして下さい。
