車のヒーターとエアコンが効かない原因(仕組みと車種別の修理箇所)

寒い時、ヒーターの温度をHOT最大にしても冷風しか出ない。

暑い日、エアコンの温度をCOOL最大にしても暖房になってる。

10年前のカーエアコン系の修理では10万円以上の高額な修理ばかりでしたが、現在のエアコンやヒーターの故障は決まった箇所の部品が不具合を起こしていることが多く、しかも簡単に安く直ることも多いです。

それではエアコンとヒーターの仕組みから基本作動そして故障診断を素人でもわかるように簡潔に紹介します。車種別の故障診断は随時追加していきますので参考にして下さい。

 

 

車のエアコンとヒーターの仕組み

参考画像:ACユニット

一般的にカーエアコンとカーヒーターは室内にあるステレオ奥に暖かい風や冷たい風を出す装置(エアコンユニット)が設置されています。どの車のエアコンユニットもランドセル位の大きさです。

エアコンユニットはエアコンガスが入るエバポレーターとエンジンの熱い水が入るヒーターコアが別々の部屋に入っており、冷たい風を出したい時はエンジン水の部屋をふさぎ、エアコンガスだけの部屋を解放してその部屋を風を通過させて冷たい風を室内に運びます。

暖かい風を出したい時はエアコンガスの部屋をふさぎ、エンジン水の部屋を解放して暖かい風を出します。

 

 

エアコンから冷たい風が出るまでの流れ

参考画像:温度調整モーター

①エンジン始動後、エアコンのスイッチと風量のスイッチの両方を入れる。※エアコンスイッチはACと書かれている

 

②エアコンのコンプレッサーとコンデンサーファンが同時に回る。※コンプレッサーはベルト付近、コンデンサーファンはフロントバンパー付近。コンプレッサーはエンジンの動力を利用する為、出力低下防止でコンピューターによってエンジン回転数を上げる。

③コンプレッサーでガスの圧力が上がり熱が発生するので、コンデンサーにガスを送りファンを回して冷やす。

④圧力を下げたガスを室内で放出。※ここの室内とはエアコンガスサイクル内のエバポレーターの中を示す

⑤放出されたガスは気化熱で一気に冷やされ、エバポレーターがとても冷たくなる。

⑥ユニットに付いてる温度調整モーターでエンジン水の暖かい空気とエバポレーターの冷たい空気を混ぜて指定温度になるように調整。

⑦ブロワモーターを使ってユニット内から室内に温度調整された冷たい風を出す。※最大に冷やす場合はエンジン水の空気は混ぜない

 

 

ヒーターから暖かい風が出るまでの流れ

参考画像:ブロワ、エバポ、ヒーター

暖かい風も冷たい風と同じユニットを通るので、流れは似ていますが、ヒーターは冷却水の熱を利用してるので冷却水(クーラント)が適正量入っている事が大前提です。※少ないとヒーターパイプ内にエアーが入り暖房が出ません。

①温度レバーをHOTにして風量スイッチを入れる。

②エンジンによって熱くなっている冷却水はユニット内を常に流れているが、温度レバーがHOTなので温度調整モーターによってバルブが開いてユニット内の熱い水の部屋が解放する。

③ブロワモーターを使ってユニットから室内に暖かい風を出す。

 

 

エアコンとヒーターを作動させるヒューズ

参考画像:ノートエンジンルーム

エアコン系のヒューズはエンジンルーム内にあることが多い。

①エアコンヒューズ

通常コンプレッサーのヒューズ

②コンプレッサーヒューズ

エアコンヒューズがなければこのヒューズを使用している

③電動ファンヒューズ

フロントバンパー付近にある電動ファンのヒューズ。ラジエーターファンと同じ場合もあり。

④ブロワモーターヒューズ

室内にエアコンの風を出すモーターのヒューズ

 

 

エアコン電源系統のリレー

エアコンリレー

6個の青い四角がリレー

リレーはエンジンルームのヒューズボックス内にあることが多いです。上の図はスズキエブリィのヒューズボックスの中身ですが、エブリィのエンジンルームは運転席の下です。シートを持ち上げるとヒューズボックスがあります。

ヒューズボックスの箱の裏にリレーの配置図がかかれていて、エアコンコンプレッサーリレーは「CPRSR」と書かれています。図では右から2番目の青い四角の部品になります。

大きい電気を流す為にリレーを使っているのですが、リレーが故障するとヒューズが切れた状態に似ていて、エアコン装置に電気を流しません。以下はエアコン系で使用している主なリレーです。

コンプレッサーリレー

コンプレッサーは普段は空回りでスイッチを入れるとクラッチが「カチン」といって繋がりコンプレッサーが回ります。※エアコンを入れると「カチン」と言った音の正体はこれ

このクラッチに電気を流すのがコンプレッサーリレー。

電動ファンリレー
エアコン圧力センサーがエアコンパイプの途中についており、圧力上昇を感知するとファンリレーを通してファンを回します。
ブロワモーターリレー
ブロワモーターは室内にエアコンの風を出す扇風機のような物です。そのモーターを動かす為のリレー

 

 

エアコンやヒーターの全体の仕組み(制御)

まずエアコンのコンピューターが圧力センサー、外気温度、エンジン水温、エンジン回転数などが発信してる信号をまとめて監視していることを前提に考える。※関連部品の何かが不調でもエアコンは正常に作動しない

エアコンのスイッチを入れる。コンピューターがエンジン水温をチェックし、90℃以下を確認

エアコンのコントロールパネル

水温が高いとエンジン保護の為、コンプレッサーの電源カットする
②コンピューターが冷媒圧センサーをチェックしエアコンガス量を確認

圧力センサー

圧が低いのはガスが少ない、もしくはコンプレッサー不良です。圧が高いとガス経路の詰まり、もしくは電動ファンの異常です。電動ファンはガスを冷やして圧力を下げます。圧は低くても高くてもコンプレッサーの電源カットをする。

③エンジン回転数をチェックし、エアコン作動基準内が確認。

エンジンコンピューターで回転数を確認

コンプレッサーの作動はエンジンに負担をかけるので、エンジン回転が低い時はエンスト防止のため、コンプレッサーの電源をカットします。エンジン回転が高いときはコンプレッサーを保護のため、コンプレッサーの電源をカットします。エンジン不調で回転数が不安定な時もエアコンシステムをカットする。
④アクセル開度をチェックし踏み込み量を見る

アクセルペダルのセンサー

アクセルの踏み込みが大きい時は車の加速を優先させるためにコンプレッサーの電源をカットします。
⑤外気温度、内気温、日射を測定する

フロントガラス付近にある日射センサー

温度によって温度調整モーターを変化させ指定温度に近付ける。日射センサーによって日差しの強さをはかり、こちらも体感温度を指定温度に近付けるように温度調整モーターを動かす。
⑥エバポレーター(ユニット)の温度を測定

助手席足元付近にセンサーがある

エバポレーターが冷えすぎて凍らないようにコンプレッサーのon.offをさせる。※凍るとガスが流れなくなり逆に冷えなくなる
⑦エアコンのコントロールパネルの設定温度を元に温度調整モーターを動かす。

温度調整モーターは運転席左足元付近

エアコン操作パネルに表示されている温度に近付けるために、温度調整モーターは常に動いている。外気温度や内気温が設定温度より低い時は勝手にヒーターになることもある。
⑧冬場はエンジンの熱を貯めるためにサーモスタットを閉じる。

エンジン側面の冷却水通路に付く

エンジンの冷却水は熱くなればヒーターに利用する。冬はサーモスタットと呼ばれる弁で冷却水通路を封鎖してラジエーターに冷却水を流さずエンジン内で水温を上げて室内のヒーターユニットに流す。

以上のように圧力センサーだけでなく、各センサーや部品が正常な作動をしなければ一番重要なコンプレッサーは動きません。

 

 

車種別のヒーターやエアコンが効かない原因

ニッサン ノート

温度調整モーターは運転席左足元付近

症状 冷えが弱い、ヒーターが弱い、正常な時と異常な時がある。

適合車種 ニッサンノート

室内のエアコンユニット運転席左足付近(ステレオの裏)にあるエアミックスアクチュエーター(温度調整モーター)の故障。修理費1万円弱。

エアコン設定温度を変えると温度調整モーターが強制的に動くので、一旦は直ることがある。

関連記事:ノートのヒーターとエアコンが効かない原因

スズキ エブリィ、キャリィ

 

エアコンリレー

右から2番目の青い箱

症状 エアコンがまったく効かない。

適合車種 スズキエブリィ キャリィ

運転席シート下のヒューズボックス内にあるコンプレッサーリレーの故障。修理費1000円程度

ホンダ ゼスト、ライフ

エンジンルームにあるヒューズボックス内

症状 エアコンがまったく効かない

適合車種 ホンダゼスト ライフ】

エンジンルームのヒューズボックス内にあるコンプレッサーリレー。1000円位

ニッサン セレナ、ティーダ

セレナ ラジエーターファン

ラジエーターに付いている車が多い

症状 停車中は冷えない、走り出すと冷える、オーバーヒートぎみになることもあり。

適合車種 ニッサン【セレナ ティーダ

フロントバンパー裏の電動ファンモーターの故障。修理費4万円程度。

スズキ ワゴンR、パレット

右タイヤ付近にコンプレッサーがある

症状 冷えが弱い、徐々に効かなくなる

適合車種 スズキ【ワゴンR パレット

エバポレーターからガス漏れ、コンプレッサー焼き付き。メーカーで無料対応する可能性あり。対象外の場合、修理費10万円程度。

ダイハツ ムーヴ、タント、ミラ

①症状 冷えが弱い、ヒーターが弱い、足元からカチャカチャ音

適合車種 ダイハツムーヴ タント ミラ

温度調整モーターが故障しかけている。修理費5000円程度。

②症状 走ると冷えるが、停車(アイドリング)してると冷えない

適合車種 ダイハツ【ムーヴ タント ミラ】

電動ファンの故障。修理費4万円程度 

参考ページ: ムーヴのオーバーヒートとエアコンが効かない

 

 

エアコンとヒーターが効かない時の応急処置

一時的にでも冷房を効かせたい時や少しでも暖房を強くしたい時の参考にして下さい。

一時的に冷房を効かせる方法

  1. グリルに水をかける: コンデンサーが冷やされコンプレッサー停止を防ぐ
  2. アクセルを踏んでエンジン回転を上げる: コンプレッサーの圧力を上げガス不足や圧縮不足を解消
  3. 内気循環に切り替える: 外気を導入すると経路が長くなり風量と冷えが弱くなる
  4. 温度コントロールスイッチを上げたり下げたりの操作を繰り返す: エアミックスモーターの動きが悪い時、強制的に作動するようになる
  5. 日陰に移動する: 室内、エンジン、コンデンサーなどが冷える
  6. 走行する: 風でコンデンサーが冷やされる

冷房を効かせる方法は以上ですが、不具合の起きている部品によって対処は変わってきます。例えば電動ファンが回らないのでしたらグリルに水をかけるのと走行するのは効果的ですが、2,3,4は無意味な行動になります。そのあたりの判断は整備士に点検してもらわないと難しいとおもいますので、色々お試し下さい。

一時的に暖房を効かせる方法

  1. アクセルを踏んでエンジン回転をあげる: 冷却水を熱くする
  2. 温度コントロールスイッチを上げたり下げたりの操作を繰り返す: エアミックスモーターの動きが悪い時、強制的に作動するようになる
  3. 内気循環に切り替える: 外気を導入すると経路が長くなり風量と暖房が弱くなる
  4. 風の出口を足元だけにする: 足元からでる暖房が一番強い
  5. エアコンスイッチ(ACボタン)をOFFにする: エアコンは除湿の為、微量の冷気が出る
  6. 内気、外気切り替えスイッチを何度か切り替える: 切り替えバルブを作動させ密閉させる

暖房を効かせる方法は以上ですが、冷却水は入ってないと絶対に効きません。しかもオーバーヒートする事もあるので、必ず確認して下さい。

以上ですが、この作業は応急的です。どこかに不具合がある為にエアコンやヒーターが効かなくなっているので、エンジン警告灯や水温警告灯などの警告灯が点灯していましたら上記作業は行わないでください。

ヒーターやエアコンは冷却水系統にかなり関係してきます。ラジエーターサブタンクの水量、エンジンオイルの量なども確かめて、安全にはしっかり気を付けて作動させ、あくまで応急的に考え、異音や異臭、振動など少しでも変だと思ったらすぐに中止して下さい。

 

 

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